惇明小の一室から始まった 市立図書館が開設100年

2024年02月06日 のニュース

 暮らしを豊かにし、知的文化の拠点となる京都府福知山市立図書館。惇明小学校の一室でスタートしてから開設100周年を迎える記念の年となる。さらには、中央館が市民交流プラザ=駅前町=に移転し、10周年という節目も迎える。

 市立図書館によると、1924年(大正13年)9月、内記五丁目の惇明小学校の一室で福知山町立図書館として開設したのが始まり。開館当初の所蔵数は1363冊で、その大部分は有志の寄贈によるものだった。事務は惇明小学校の職員が兼務していたという。

 46年(昭和21年)11月には、御霊公園にあった市立迎賓館内に移転し、市立図書館として開館。場所は、御霊神社本殿の北側あたりで、現在は駐車場になっている。

 当時の図書館をよく利用していた山段誠さん(76)=下新町=は、「本を借りたり、休みの日には勉強に行っていました。16ミリの映写機やフィルムの貸し出しもあって、家で見たのを覚えています。昔ながらの良い図書館で、たくさん学ばせてもらいました」と学生時代の思い出を語る。

 旧大江町の発足間もない53年8月には、大江町河守の旧森林組合事務所を改修転用し、大江町図書館を開設。「保存版 福知山・綾部の今昔」(郷土出版社発行)によると、当時の京都府知事を迎えてオープン祝賀会が開かれ、広く町民に親しまれたという。

■72年に市民会館内へ移転■

 72年5月に、元惇明小学校東校舎の敷地(市役所隣)に市民会館を新設し、1階に新館を開設。「1972年市勢要覧」(市発行)や当時の両丹日日新聞の紙面によると、2万5千冊余りの蔵書を有し、電動式棚や郷土資料室、一般閲覧室、新聞、雑誌コーナーなどが設けられた。市民会館は現在、ハピネスふくちやまになっている。

 35歳の女性は「4階に市民ホールがあり、ピアノの発表会のあとに本を借りたり、入り口前のコイを見に行ったりしていました」と小学生のころに利用した記憶をさかのぼる。

 その後、日新地域公民館に日新図書館(分館)、夜久野町教育文化会館内に教育文化会館図書室、三和町農業振興センター内に三和町図書室が開設された。

■旧3町図書館・室は合併後分館に■

 2006年(平成18年)には、福知山市、三和町、夜久野町、大江町の合併により、名称を現行の「市立図書館中央館」と改め、日新を含めて三和、夜久野、大江の各図書館・室を分館とした。日新分館はのちに日新地域公民館図書室に所管替えしている。

 14年6月、中央館を駅前町の市民交流プラザ1、2階に移転。旧館に比べて面積は3倍の広さとなり、乳幼児に読み聞かせができる「おはなしのへや」や、若年層向けの「ティーンズコーナー」を作り、北近畿唯一の自動化書庫を整備。三たん地域16市町在住者も利用できるようになった。4年後の18年6月には移転後の来館者数が100万人を突破した。

 19年(令和元年)6月には、福知山ゆかりの戦国武将・明智光秀が主役のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が20年に放送されるのを受け、貴重な史料などを並べる「明智光秀コレクション」を公開。現在の総数は700冊を超える。

 新型コロナウイルス禍で図書館に行かなくても、読書を楽しめる環境整備が加速。22年1月には、「ふくちやま電子図書館」を開始。東京都の会社が提供するシステムを利用する300館ほどのなかで、1千人あたりの人口比の貸出数と閲覧数で全国1位を獲得した。

■子どもの読書推進を柱に据え■

 次代を担う子どもの読書推進を大きな柱にしていて、子育て支援施設に絵本のセットを貸し出している。読書ボランティアと協力して、児童館やふれあいサロンなどへの出張おはなし会なども開催している。

 また、「誰でも、どこに住んでいても、どんな資料でも利用できるように」と、バリアフリーサービスにも力を入れ、視覚に障害がある人らの読書をサポートする対面読書サービスをオンラインでもできるようにした。

 総貸出点数は2015年度の64万1145冊をピークに、新型コロナ禍で20年度は50万冊を割り込んだものの、22年度は電子図書館を含めると計68万3686冊と過去最高を更新した。

 総入館者数は、22年度は15万6356人。蔵書数は、23年3月末時点で、中央館と各分館合わせて計34万2232冊。開設当初の100年前と比べると、250倍に増えた。

 山路智子館長は「蔵書数が1300冊ほどからスタートして、いまは34万冊を超える大きな図書館になりました。地域を支える情報拠点として、居心地が良く、探したいものが見つかるよう、来館型と非来館型の併用によるハイブリッド図書館化を推進して、本のおもしろさ、読書の楽しさをさまざまな形で伝えていきたい。より多くの来館を職員一同お待ちしております」と話している。

 
写真(クリックで拡大)上から
・現在の中央館内
・昭和42年の市立図書館(「保存版 福知山・綾部の今昔」より)
・市民会館
・ふくちやま電子図書館が人口比の貸出数と閲覧数で全国1位に(23年2月)
・中央館が入る市民交流プラザ

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