「戦争したらあかんのに」 絵本作家の長谷川義史さん講演
2023年02月09日 のニュース

絵本作家、長谷川義史さんの平和をテーマにした講演会が4日、京都府福知山市昭和新町の府立中丹勤労者福祉会館であり、約200人が聴講した。絵本の読み聞かせを交えながら、作品に込める思いを語り、戦争根絶を訴えた。新日本婦人の会福知山支部(水谷直美代表)主催、両丹日日新聞社後援。
同支部は、子育てや男女平等、平和に関する活動を続けて4日で創立60周年を迎えた。市民と一緒に楽しく学べる機会をと長谷川さんの講演会「へいわってすてきだね~絵本で子どもたちにつたえたいこと~」を企画した。
独特のタッチで描く絵、軽快なトークでも人気の長谷川さんの話を聞こうと、親子連れだけでなく大人も来場した。
長谷川さんは、デビュー作の「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」(2000年7月発行)を、面白おかしく読み聞かせた。
5歳の男の子が“おじいちゃんのひいひいおじいちゃんはどんな人?”と先祖にたずねて回り、人類が猿だったころまでさかのぼるというあらすじ。
絵本の見開きページいっぱいに「ひいひいひいひいひい」の文字が並ぶと、長谷川さんは「ひいひいひいひいひいひぃひぃ、ひぃ…ぃ…」と息を切らせ、だんだんと声を小さく薄れさせて誤魔化してしまうテクニックを披露。「まねしてもいいですよ」と、にやりとして会場を笑わせた。
デビュー作を描いたきっかけは子どものころに持った疑問、と振り返った長谷川さん。幼いころに父親を亡くしたが、父親と母親がいたから自分がいる。その両親にも親がいて、自分もいつか誰かの親になる。過去から未来へとずっと変わらない人のつながりがあることを考えたことが根底にある。
話は人類が戦争を繰り返してきた歴史の話へ。「歴史上ずっとやってるでしょ。やったらあかんけどやりたくなる。人間とは悲しく、恐ろしい血が流れている」と話し、ウクライナ情勢や日本の憲法9条改正への動きを例に「今やりたい周期がきているような気がします」と憂えた。
「人って国とか宗教とかも関係なくて、さかのぼったらみんな猿で全員親戚とか家族ですよ。けんかして、戦争して、もうやめましょうよ」と訴えた。
写真=絵本の読み聞かせをしながら平和への思いを語る長谷川さん