終戦80年、記憶を未来へ 遺族会の会員有志9人が記念誌作る
2025年03月11日 のニュース
太平洋戦争終結から、8月で80年の節目を迎える。これに合わせ、京都府福知山市遺族会三和支部の会員有志9人が、遺族文集などをまとめた記念誌「いのち永遠に」を発行する。戦争の記憶が薄れつつある中、後世に伝えていく必要がある-と、昨年1月に作成委員会(吉見彰久委員長)を発足。住民の協力も得て進め、7月の完成をめざす。
2023年5月にあった同三和支部の総会で、副会長の片山順治さん(74)が「戦争を知っている人がいなくなる前に、遺族らに戦中、戦後の経験などを執筆してもらい、文集にしないか」と提案し、企画が動き出した。
戦争や平和への思い 住民ら49人が寄稿
同支部メンバーのほか、三和地域の自治会長や回覧板などを通じて、各家庭をはじめ、三和にゆかりのある人にも戦争体験の執筆、遺品などの資料提供を呼びかけ、合計49人が寄稿。海軍双眼鏡や戦時中の防寒手袋、特攻隊員の遺書、軍隊手帳など約30点が集まった。
文集は、最後の徴兵検査を受け、海軍衛生兵となった99歳の男性、母親のおなかにいるときに父が戦争で亡くなり、父親の顔を知らずに育った人らが、それぞれの視点で執筆した。
「戦争ではいろんな不幸を見てきた。現在は幸せな世の中になったが、二度とこのようなことが起こってはならない」などと、平和を願う言葉も記されている。寄せられた戦争資料については、写真に撮って掲載し、解説を加えてまとめる。
吉見委員長(70)ら編集委員会メンバーは「B29を知らず、『そんな濃い鉛筆があるんですね』という若者もいる時代。戦中、戦後を過ごした人たちの苦労があって、今の平和な世の中があることを、忘れてはいけない」と熱っぽく語る。
「文集には、三和町に疎開してきた子どもたちが、枕の中の小豆を食べて、飢えをしのいでいたという話もあります。裕福な時代を生きる子どもたちにも読んでもらい、物を大切にする気持ちを養ってほしい」と願っている。
写真(クリックで拡大)=発行に向けて会議を重ねるメンバー