家族とつかんだプロ野球選手の夢-福知山出身森下瑠大君

2023年01月03日 のニュース

 京都府福知山市出身で、プロ野球の横浜DeNAベイスターズからドラフト4位の指名を受けた京都国際高校3年の森下瑠大君(18)。福知山の実家には、「将来の夢はプロ野球選手」と書かれた小学校の卒業文集が残っている。母の愛子さん(44)は、感慨深そうに文集を見つめ、「瑠大のプロ入りは家族の夢でもあったので、かなえてくれてうれしい」とほほ笑む。


【写真】高校で活躍する森下投手

 面倒見の良い兄、魁斗さん(24)の影響で、小学1年から学童野球チームの昭和ガッツで野球を始めた。休日はチームの練習、平日は学校が終わってから自宅の駐車場などで、魁斗さんとボール代わりのバドミントンの羽根打ちなど、自主練習に励んでいた。

 愛子さんは当時の様子について、「慕う兄に少しでも実力を近づけて、対等に練習したい、との思いが強く、ひたむきに努力を続けていました」と振り返る。
【写真】昭和ガッツ時代

■硬式野球の福知山ボーイズで全国大会出場

 チームではエースで4番を任されるようになり、全福知山大会優勝など、昭和ガッツの黄金期を築き上げた。南陵中時代は、中学生硬式野球チーム・福知山ボーイズに所属。全国大会出場に導いたり、京都、関西選抜のメンバーに選ばれたりして活躍した。チームメイトとも仲が良く、充実した時間を過ごしていたという。

 愛子さんは「オンとオフの切り替えが上手で、当時は休むときは休むと決め、趣味のゲームに没頭していました。ただ負けず嫌いで、友人や兄、3歳離れた弟の渓介と対戦型のゲームをするときも、常に本気でしたけど」と笑う。

【写真】南陵中学校時代、硬式チームの福知山ボーイズでチームを全国に導く

■投打のキーマン、甲子園で躍動■

 プロ入りの目標を明確にして進学したのは京都市の京都国際高校。月曜日のオフ以外は、スマホの使用禁止など、野球のみに打ち込む環境でさらに力をつけた。1年秋からベンチ入りし、すぐ投打のキーマンに。2021年春には初の甲子園にチームを導いた。

 その夏も甲子園のマウンドに上がり、完投2回を含む全4試合に登板。打っても本塁打を記録し、打率は3割を超えチームは4強入りを果たし、プロのスカウトから注目される存在に成長した。

【写真】小学校の卒業文集に夢はプロ野球選手と書いていた

■グローブに「家族へ恩返し」の刺繍■

 昨年の春も甲子園出場を誓い、グローブを新調。口では照れて伝えづらい言葉を、刺繍で刻んだ。「家族に恩返し」

 愛子さんは「普段は、感謝の言葉を言ってくれる子ではないので、刺繍の存在を知ったときはうれしかった」と喜ぶ。瑠大君も家族も、出場を信じて疑わなかった。そして2年連続の選抜出場が決まった。

 しかし、喜びから一転、新型コロナウイルスの集団感染で、出場辞退になった。愛子さんは「辞退が決まった次の日に車で迎えに行ったとき、『きつい』と漏らしていました。あまり弱音を吐かない子なんですけどね」。家に着くまでの1時間、車内はとても静かだった。

 さらに苦難は続き、春先には左ひじを痛めた。それでもチームの暗い雰囲気を変えようと、自身もショックを受けるなか、笑顔を心がけて士気を高め、夏の京都大会に臨んだ。

 チームは勝ち進み、京都大会を制覇。瑠大君は、乙訓との準決勝で救援として投手復帰を果たし、龍谷大平安との決勝では先発を任され、打者としても2安打3打点を記録するなど活躍した。

 そして高校最後の夏も、甲子園のマウンドへ。力投する瑠大君の右手には、春につけるはずだった、あの刺繍入りのグローブがあった。

 愛子さんは「公表していませんでしたが、京都大会の途中で練習中に腰を負傷し、完全な状態ではなかったんです。そんななかで、本当によく頑張った」と息子をたたえる。

■プロ入り決めても普段と変わらぬ食卓■

 練習場所への付き添い、栄養バランスを意識した食事作りなど、夢を追う息子を懸命に支え続けた愛子さん。ドラフト翌日、実家へ帰省した瑠大君を笑顔で迎えた。用意したホールケーキを父の雅人さん(46)、3兄弟と一緒に食べ、「おめでとう」と優しく声をかけた。

 3兄弟は変わらずじゃれあい、普段通りの食卓が、そこにはあった。照れ臭そうに笑う瑠大君はプロとなり、新たなステージへと活躍の場を移す。

 瑠大君は「プロでの目標は毎年2ケタ勝利し、ゆくゆくは日本代表に選ばれて活躍することです。福知山出身者として、子どもたちの目標となる選手になれるよう努力するので、応援をよろしくお願いします」と話している。
【写真】瑠大君の卒業文集などを見て昔を懐かしむ愛子さん

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