鬼のことならなんでも分かる 大江山の鬼博が今年30周年

2023年01月04日 のニュース

 鬼のことならなんでも分かる京都府福知山市大江町佛性寺、「鬼博」こと、日本の鬼の交流博物館(村上誠館長)が今年で開館30周年を迎える。酒呑童子などの鬼がいたとされる大江山の中腹にあり、鬼にまつわる作品や資料を多数所蔵。「鬼」に特化したユニークな博物館として、今も全国から多くの人たちが訪れる。

■3つの鬼伝説起爆剤に開館

 鬼博は1993年4月に開館。大江山に伝わる酒呑童子、麻呂子親王、日子坐王の3つの鬼伝説を町おこしの起爆剤として活用しようと、旧大江町(2006年に合併)が建てた。

 旧河守鉱山の社宅があった場所に整備されていて、近くには、大江山にすんでいたとされる鬼・酒呑童子の屋敷跡がある。

 建物の外観は両側の上部が、鬼の角のように突き出た造りになっていて、来館者は鬼の体内に入っていくような気分になる。

■資料3千点を所蔵

 鬼にまつわる資料は日本や世界の品約3千点を所蔵。面や絵画、人形、玩具、図書などが並ぶ。武将・源頼光らが鬼退治をする様子を描いた江戸時代の「酒呑童子絵巻」やウルトラ怪獣の生みの親で、彫刻家の成田亨さんによる鬼の絵など、希少な展示物もある。

 このほか常設展示で目を引くのが鬼瓦の数々。飛鳥時代から現代までの銘が入った約50点を置く。全国の鬼師(鬼瓦製作者)が作った逸品もあり、来館者ににらみをきかす。

 資料は購入したもののほか、鬼博にぜひ飾ってほしいと寄せられた寄贈品も多い。常設展示のほか、特別展も年3回開催。全国の作家らによる作品や各地に伝わる遺物などを紹介する。

 また夜間に展示物を見てもらうナイトミュージアムや怪談をテーマにした落語会の開催もあり、様々な仕掛けで来館者を呼び込む。

 館内だけでなく、博物館玄関先にも見ごたえのある“展示物”がある。大鬼瓦の「大江山平成の大鬼」は鬼師でつくる日本鬼師の会が中心となり、130のパーツに分けて製作した。高さ5メートル、重さは10トンあり、鬼博の映えスポットになっている。波と雲、龍をアレンジし、青海波瓦を屋根に装飾した「青海波唐破風門」も異彩を放つ。

■鬼滅ブームで入館者増える

 鬼博が建つ佛性寺は冬は雪深い土地だが、博物館には季節に関係なく人々が来館する。新型コロナウイルス感染の影響で一時減少した時もあったが、鬼と人間の戦いを描いたアニメ「鬼滅の刃」の爆発的なブームで、初めて鬼博を訪れる人も増え、博物館の存在を広めている。

 昨年11月に、初めて来館した京丹後市の女性(31)は「鬼はアニメや漫画などでよく出てきますが、あまり知りませんでした。ここの博物館では、いろんな種類の鬼と出会えるので、大変興味深い。山深い場所にあるので、本当に鬼が出てきそうですね」と話していた。

 鬼というキーワードに誘われ、各地の研究者も来館。鬼伝説や鬼で町おこしをする大江地域について深く学んでいくという。

■昨夏に入館者50万人超える

 昨年7月30日には入館者数が累計で50万人に達した。記念のセレモニーには初代館長の村上政市・名誉館長(92)も顔を見せた。

 政市さんは「館名に『日本の-』と付けたので、全国から鬼の資料を集めるのに奔走しましたが、歴代の館長がきちんと整理してくれました」と感謝。「現代の情報化社会の中で、鬼は新たな役目を果たしてくれると思う。今後も時代に合った鬼に焦点を当ててほしい」と願う。

■酒呑童子を更に活用したい

 鬼博では今年30周年の記念展を開く計画で、村上館長(63)は「30周年を機に原点に戻り、酒呑童子を更に活用できる方法を探りたい。市の文化発信の一つの場として、もっと博物館を知ってもらえるように努めたい」と意気込む。

【写真】上から
 ・博物館入ってすぐの所には鬼瓦を展示している
 ・博物館の外観。角が生えた鬼の頭のように見える
 ・世界の鬼面もたくさん並ぶ
 ・博物館の玄関前に据え付けられている大鬼瓦「大江山平成の大鬼」。映えスポットにもなっている
 ・ホールにも“鬼”がいっぱい展示されている

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