「お蚕さん」の全て分かる資料室が旧川合小に誕生 道具50種以上展示

2022年09月03日 のニュース

 京都府福知山市三和町上川合の旧川合小学校に、養蚕にまつわる歴史が学べる「お蚕さんの教室」ができた。蚕を育てる棚など、50種類以上の道具が並べられ、展示をたどれば生糸になるまでの工程も分かる。見学は予約制。

 福知山や綾部などの人らでつくる蚕業遺産研究会代表で、小中一貫教育校・三和学園の地域講師として、4年生と一緒に蚕の飼育もする吉田武彦さん(63)=水内=が、校舎2階の一室を借りて7月下旬に開設した。

 盛んだった養蚕の歴史を伝える施設が市内になく、「歴史や養蚕の流れを知ってもらい、継承していくために資料室は必要」と、昨年5月から準備を開始。市内にある5軒の元養蚕農家から道具を譲り受けたり、話を聞いたりした。

 教室には、蚕の餌となる桑の葉を細かく刻む包丁とまな板、蚕の食べ残した葉やふんを取り除く糸網、出荷する繭を選り分ける台などを展示。目を引く高さ約2メートルの蚕棚は、吉田さんが丸一日かけて組み立てた。

 道具のなかには、明治時代に使われていた年代物があるほか、繭の毛羽を取り除く機械などは、実際に動かすことも可能。展示品の解説とともに、幼虫が口から糸をはいて繭をつくることなど蚕の生態や成長過程も、パネルで説明している。

 8月31日には、養蚕道具を寄贈した桐村さゆりさん(86)=下天津=らを招き、吉田さんが教室を案内。道具や説明書きの文章をじっくり見ながら、養蚕をしていた当時を懐かしんだ。

 孵化したばかりの幼虫を傷つけないよう集める羽ぼうきの展示には、「うちのところは、複数の羽をまとめたものを使用していました」「うちは1枚の羽を使っていましたよ」などと、養蚕談議に花を咲かせていた。

 桐村さんは「養蚕道具が分かりやすく、たくさん並んでいてびっくり。昔の記憶がよみがえりました。多くの人に見に来ていただければ、蚕や養蚕の歴史に興味を持つ人が増えるのでは」と期待していた。

 隣の教室には、昔の農機具などが並び、現代と比較しながら、昔の米づくりが学べる「お米づくりの教室」もある。また吉田さんによる養蚕、米づくりの出張講話も、希望者を受け付けている。

 各教室の見学や講話の問い合わせは、吉田さんの携帯電話090・6911・7598へ。

 

写真=完成した資料室を見学する元養蚕農家ら

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