地域活性化に奮闘 地元の山林からエッセンシャルオイルを開発
2022年04月13日 のニュース
京都府福知山市下佐々木の小川誠人さん(58)が、地元の山林整備で伐採したヒノキやスギを使ったエッセンシャルオイルを開発し、地域の盛り上げに活用しようと奮闘している。豊かな自然を感じられるオイルを手に、「地域に人を呼び込みたい」と意気込む。
京都市伏見区の出身だが、ずっと地元から出たいという思いがあったという。移住先を探していた2020年、知り合いの山林と家を譲り受ける形で福知山市へと移住。「アルヴェアーレ」の社名で会社も立ち上げ、21年はいろいろな準備を進めてきた。
ただ、当初の目的は耕作放棄地を活用したブドウ栽培。約30アールの畑を整備し、シャインマスカット、クインニーナなど市内で生産者が少ない品種を選んで苗木を植えた。収穫は4年後を見込む。オイルづくりは、ブドウ栽培と並行して取り組んだ荒れた山林の手入れで、木材の有効活用を考えたことがきっかけになった。
「オイルづくりに適したきれいな水があったこと、香りの良い木々を生かそうという思いで、生産を始めました」
精油所は山林の入り口付近に、建設業界で働いてきた経験を生かして自分で整備した。敷地内の水源から水も引き、専用の器具でチップにした木材を蒸す「水蒸気蒸留法」でオイルを抽出する。100リットルの水から100ミリリットルしか生産できない貴重なものだが、同時に、木の香りのするフローラルウォーターも生産できる。
いずれも「桔の香」と名付け、小売業などへの卸しを中心に考えているという。また、同社ではオイル、ウォーターの製造も請け負う。
小川さんは「事業展開を大きくし、雇用も生まれるような会社を目指しています。地域に若者らを呼び込み、盛り上がれるように頑張っていきたい」と話す。
■16、17日に綾部市で環境考えるイベント
ブドウ栽培などに携わる中で、「環境のことも考えないといけない」という思いが強まっている。地球や環境について考えるイベント「アースデイin北京都」を16、17両日、不動産管理などを手掛ける下佐々木の会社「由良」(由良紀枝社長)が綾部市青野町で営むレンタルスペース「オスキーニ」で開く。
毎年、京都市左京区の岡崎公園で開かれている同名のイベントとタイアップした企画。両日とも午前10時から午後4時まで。
市内の生産物を扱うふくちマルシェなどが参加し、シカ肉を使ったおかずみそ、オリーブオイル、ハーブティー、桔の香などを販売する。ハーブを使った石けんづくりのワークショップもあり、小川さんは、子ども向けに循環型社会をわかりやすく解説したパネル展示やディスカッションを随時実施する。
問い合わせは同社、電話(33)0002へ。
写真=精油所の器具を確認する小川さん