大阪のビルを舞台にまちづくり 総合建設会社・西田工業がめざす地域貢献と豊かな未来

2025年01月06日 のニュース

 京都府福知山市天田に本社を置く総合建設業の西田工業(西田吉宏社長)が、まちづくり事業に挑戦している。土木や建築、リニューアルなどの各種工事がメインだが、大阪市北区中津の自社ビル・西田ビルを舞台に、地域貢献の取り組みを進めるとともに、大阪と福知山の架け橋になることを見据えて、さまざまな事業を展開している。

 創業116年の同社は、大阪にも拠点をおいて95年の歴史があり、高度経済成長時代に突入した1958年(昭和33年)に初代西田ビルを中津に建てた。その後、敷地内で初代の建物を移築し、その跡地に鉄筋コンクリート造7階建ての現在の2代目西田ビルを構え、今年で60年を迎える。

 中津エリアは、再開発が進む大阪駅周辺のうめきたエリアが目と鼻の先にあり、下町感あふれる街並みが広がる一方、近年タワーマンションや長屋をリノベーションしたカフェ、居酒屋などが少しずつ増え、都会と下町の雰囲気が入り混じり、映えスポットとして若者から注目を集めている。

 西田ビルは当初は1、2階を事務所とし、3階部分は社員寮、4~7階部分は一般向けの住居として貸し出していた。西田社長(49)によると、当時は7階建てが珍しく、高級マンションとして存在感を示していたというが、近年は老朽化が目立つようになった。

持続可能な創造ビル 新たな拠点へ再興

 そんなビルの活用として同社は当初、建て替えを検討していたが、建物の文化的価値を再認識したことや、「古い建物は壊して建て替えるスクラップ・アンド・ビルドの時代から、今や変化している」との考えから、2018年に「サスティナブル(持続可能な)ビル」へと方針転換。自社でリノベーションし、地域に開かれた新たな拠点になればと、まちづくりの視点でビルの再興に着手し始めた。

 「まちを見てきたビルが今度はまちをつくる」を合言葉に、地元の人や企業をはじめ、多様な人たちが集い交流するイベントスペースを西田ビルの空き室に設置した。さらにコミュニティーづくりなどを手掛ける東邦レオ社と協業しながら、ビルの地階に面するドライエリア部分を、イベントなどで活用できるスペースを設けた「ハイパー縁側」として改修。ハイパー縁側では、入場無料のトークセッションをこれまでに300回以上開催した。

 西田社長は「取り組みを始めた当初は、中津地域との関わりはなく、住民からしたら何をしている会社なのか分からないような状態でしたが、イベントを通じて、多くの住民が来てくださるようになりました」と目を細める。

福知山の味覚を大阪でも発信 食のイベント開催

 その一環で、福知山の飲食店、生産者たちが出店する食のイベント「ファーマーズテーブルズ」が西田ビルでも開かれるようになった。福知山市の委託を受けて福知山フロントが福知山市内で実施してきたものだが、福知山フロントと協力して、福知山の味覚を大阪でも発信。昨年は4月、7月、10月に1回ずつ開催した。

 西田社長は「大阪中津に大阪本店を構えているが、あくまでも福知山が本社。ビルを活用し、事業の2大拠点である福知山と大阪をつなぎ、地域活性化や地方創生に貢献できたらうれしい。ファーマーズでは地場産野菜の直売や飲食、縁日のブースが並び、多くの方に楽しんでもらいました。またウナギのつかみ取りがあって、子どもたちに好評でした。中津の人たちが福知山のことを知り、足を運んでくれたら」と話している。

今月から本格改修 耐震補強なども

 ビルの本格的なリノベーション工事は今年の1月から順次着手する予定。まずは1階部分の改修にあたり、その後耐震補強やほかの階も改修。古い建物や空間を生かしたブランディングをしながら、これからも新たな価値の創出や地域を元気にする活動に挑戦する。

 西田社長は「土木、建築工事を事業基盤に置きながら、人々の豊かな暮らしやまちの未来に貢献する流れを、建設業の中に生み出していきたい」と力を込める。

写真上から(クリックで拡大)
・梅田から中津エリアへの入り口に立地する現在の西田ビル
・初代西田ビル
・昨年10月のファーマーズテーブルズでトークセッションをする西田社長(中央)ら
・ウナギのつかみ取りなどでにぎわう昨年7月のファーマーズテーブルズ
・西田ビルの場所

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