溶けにくいアイスを開発 中庄本店、嚥下障害者への思い形に

2022年01月28日 のニュース

 福知山市荒河東町の総合食材商社、中庄本店(塩見和之社長)は、溶けにくいアイスクリームを開発した。摂食嚥下障害者への温かい思いやりから誕生した商品。現在は、応援購入型のクラウドファンディング(CF)サイト「Makuake」で、先行予約販売している。

 開発者は、介護・治療食品の営業を担当する管理栄養士の藤井由香さん(37)、高見麻吏さん(32)の2人。福知山市の「NEXT産業創造プログラム」に参加し、新商品を考えるなかで生まれた。

 要介護高齢者によくみられる摂食嚥下障害は、食事をミキサーにかけたり、ゼリー状にするなど調整が必要で、量を多く食べられず、栄養状態が低下することが多い。このため、少量で高カロリーの食品が、栄養補助としてよく利用されている。

 藤井さんたちが営業で病院や老人ホームを訪れた際、職員から「口溶けが滑らかなアイスがあれば、きっと喜ばれるけれど、市販のものは溶けると液体になってしまい、摂食嚥下障害者には出せない。溶けないものがあれば」という声をよく聞いていたという。

 「ならば形にしよう」と2人が立ち上がり、開発を開始。京丹後市の「ミルク工房そら」の協力を得ながら進め、半年の試行錯誤を経て完成させた。

 イチゴから抽出されるポリフェノールと海藻成分を配合し、水分と油分の分離を防ぐことで、溶けにくくしている。ジャージー牛乳を使用するなど、口溶けや味にもこだわって仕上げた。

 商品名は「ZuT(ずっと)」。ミルクの「白」とホールフルーツチョコレートの「黒」、福知山産のイチゴを使った「赤」の3種類があり、価格は各2個の6個セットが5千円(税込み)、各4個の12個セットが8千円など。2月27日まで先行予約販売中で、4月末に商品を発送する予定という。

 藤井さんは「介護現場で新しい食べ物が採用されるのは、安全性などの問題から、とてもハードルが高いのが現実です。このため、まずは一般家庭に普及させ、安心感を得たうえで、最終的には摂食嚥下障害者にも食べてもらえるようになれば」と話している。

 

写真=開発した溶けにくいアイスを持つ藤井さん(右)、高見さん

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