作庭家・古川三盛さんが観音寺で若冲の世界 もともとあった石など使い

2021年07月06日 のニュース

 関西花の寺霊場第一番札所で、丹波あじさい寺として知られる京都府福知山市観音寺の高野山真言宗・観音寺(小籔実英住職)に、新しい庭園「斗籔庭(とそうてい)」ができた。京都の作庭家、古川三盛さん(78)=向日市=が手掛けた庭で、境内にあった石や草花をそのまま使い、落ち着いた雰囲気の空間を作り出している。

 古川さんは北九州市生まれで、これまで瀬戸内寂聴さんの寂庵(京都市)、日本のお地蔵さま発祥の地・矢田寺(奈良県大和郡山市)の庭などを作ってきた。観音寺でも30年ほど前から、石畳や散策路などの整備に携わっている。

 観音寺では昨年、開創1300年を迎えたことから、記念として庫裏前にあった庭を新しくする計画を立て、古風な寺に合った庭をつくってもらおうと、古川さんに依頼した。

 庭の広さは約200平方メートル。平安時代に書かれた日本最古の庭園書「作庭記」に基づいて作った。設計図は描かず、石組みは石を1個置いたあとに、次の位置をじっくりと考えながら配置。植物はアジサイやキキョウ、ギンパイソウなどを植え、季節ごとに違う表情を楽しめるようにした。

 アジサイの植栽地へと向かう石畳、階段なども整備。工事は昨年2月から始め、今年5月に完成した。「斗籔庭」の名前は弘法大師の「俗世を離れて早く悟りの世界に入れ」という教えの「斗籔」からとった。

 寺で以前から飼うニワトリの小国13羽が新しい庭に放され、ニワトリの絵師として有名な江戸時代の伊藤若冲の絵の世界を作り出している。

 古川さんは「もともとあった石などを使い、ここでしかできないオリジナルの庭を作りました。10年後も変わらない庭に仕上げました。写真で見るのではなく、自分の目で庭の良さを感じ取ってもらいたい」。小籔住職(69)は「以前から寺にあったような庭に仕上げてもらいました。庭を見て、日ごろの疲れを癒やし、心穏やかになってもらえればうれしい」と願っている。
 
 
写真=斗籔庭を眺める古川さん

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