平安時代にも「ステイホーム」 鬼の里で世界鬼学会シンポジウム
2020年12月10日 のニュース
京都府福知山市大江町河守中央の総合会館でこのほど、鬼シンポジウムin福知山2020(世界鬼学会主催)が開かれ、八木透・同学会会長が「祇園御霊会と疫病と鬼」の題で講演し、疫病の歴史や鬼との関係性などについて詳しく話した。
大江は酒呑童子など鬼伝説が残り旧町時代から「鬼の里」として、鬼学会などと協力しあって、まちの元気づけをしてきた。シンポジウムも恒例になっている。
今年の講師を務めた八木会長は、京都の祇園祭が近世末まで祇園御霊会と言われ、疫病払いから始まった祭りだと説明。目に見えない恐ろしい存在で、都に疫病をもたらす疫神を芸能や歌舞を披露して喜ばせ、都の外の海まで出すことを目的にしていたと述べ、ウイルスや細菌を撃退しようとする現代の考え方と違い、昔は病の原因とされた御霊を歓待し、怒りを鎮めようとしたと話した。
平安時代、疫病は夏に発生することが多く、狭い場所に人口が集中する町全体は、今でいう「三密」の状態で、流行の原因になっていたという。また、病が広がった時には、家から出る人はおらず、現代の「ステイホーム」に通じる防御策が取られていたと解説した。
「隠」が語源の鬼も、目に見えない恐怖ととらえられていたが、退治されたあとは疫神たちと同じように祭られたことを説いていった。
写真=疫病と鬼との関係性などを説く八木会長