旧陸軍の象徴・五芒星入り換気口カバー 旧医師会館から取り外しを保存・活用 陸上自衛隊福知山
2020年12月10日 のニュース
陸上自衛隊福知山駐屯地(小野田宏樹司令)の隊員たちが7日、明治時代に旧陸軍関係の集会所施設として建てられた京都府福知山市岡ノ二町の旧福知山医師会館から、床下換気口カバーを取り外した。カバーには旧陸軍の象徴だった五芒星が入っており、旧陸軍の資料などを展示する駐屯地内の史料館「垣将集館」で活用する。
旧医師会館は1898年から1904年(明治31年~37年)の間に建築されたとみられ、周囲9カ所の床下換気口に鉄製カバーがはめ込まれていた。洋風の歴史的建造物ということもあり、所有する市が、民間にも呼びかけて利活用の方法を探っていたが定まらなかったため、今年度中に解体される。
そんななか、福知山駐屯地が5月に、鉄製カバーを旧陸軍の資料として回収できないかと市へ相談。市も公的機関での有効活用を願って承諾した。回収は福知山駐屯地の隊員でもある若林秀希・史料館長ら3人で取り組み、災害現場などで使う人力削岩機で換気口の周囲を削り、手際よく鉄製カバーを取り外していった。
五芒星は、弾除け(多魔除け)などの意味が込められているというが、旧陸軍の象徴となった理由は、はっきりとしていない。
会館と同時期の1898年に「将校集会所」として建てられた史料館にも同様のカバーがあったとされるが、戦時中の金属供出のためか、現在は無くなっている。回収したものは一部を展示、保存するほか、史料館の換気口で使用することも考えている。
若林史料館長は「旧陸軍に関連した歴史的遺産を譲り受けたので大切に保管、運用をしたい。重厚感があって状態の良いものも多く、価値のある資料になります」と話していた。
史料館には旧陸軍時代の軍服、装備品、郷土史などが展示されており、事前予約があれば一般の見学も受け付けている。
問い合わせは電話(22)4141、福知山駐屯地へ。
写真=旧陸軍で使用された五芒星の入った床下換気口の金属カバー