福祉行政をAIが代行、その時ルールと倫理は 日本学術振興会の助成受け公立大が探究
2020年10月17日 のニュース
京都府福知山市西小谷ケ丘の福知山公立大学(井口和起学長)が、日本学術振興会の研究助成事業に採択された。約1400万円の助成を受けて、人工知能(AI)が自治体の介護保険行政を代行する時のルールなどを探る。
学術振興会の「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業領域開拓プログラム」で、今年度は全国から75件の申請があり、そのうち11件が採択。過去の受託校は旧帝大や有名私立大ばかりで、地方の公立大が受けるのは初めてという。
福知山公立大は、要介護認定やケアマネジメントなどの介護保険行政の一部をAIが代行する際、どの程度AIに委ねるのが適切なのか、ルールと倫理を探るほか、実際に地域で活用する場合、どうすれば導入しやすくなるのかなどを調べる。
プロジェクトチームは、社会福祉を専門とする地域経営学部の川島典子教授が代表を務め、情報学部と地域経営学部の両学部長ら計7人で構成。情報学部が4月に新設されてから、両部連携の研究は初めてで、文系理系の枠組みを超えた研究手法は独自性が高いという。
川島教授は「人手不足の中山間地域は、今後福祉行政の一部をAIに担ってもらわなければならなくなる」といい、調査は人口減少が進む福知山市や宮津市など北近畿全域の自治体を対象とする。
期間は2022年3月までの2年半。7日には大学内でさっそく第1回の集会を開き、チームのメンバーで研究の進め方や今後のスケジュールなどを確認した。
川島教授は「福祉業務は特にAIの導入が難しいと言われていて、今後の発展が期待されているテーマ。そういう点でもこの研究の意義は大きい」と話す。
写真=第1回集会で話し合う川島教授(中央)ら