広域:但馬に初の4大申請 仮称・国際観光芸術専門職大学
2020年05月28日 のニュース

但馬初の4年制大学となる、兵庫県立の「国際観光芸術専門職大学」(仮称)が、来春の開校を目指し、文科省に認可申請している。キャンパスは豊岡市の市街地。平田オリザさんを学長候補者とし、認可されれば、演劇・ダンスの実技が本格的に学べる日本初の公立大学になる。
豊岡市はハード、ソフト両面で「演劇のまち」にと力を入れており、温泉や城下町など観光資源もあり、大学開設の素地はあった。
市は、コンペティションホール県立城崎大会議館の払い下げを受けて、2014年から滞在型舞台芸術創作施設の「城崎国際アートセンター」として運営している。
可動式で500席、立ち見なら1000人までのホール、大小6つのスタジオのほか、宿泊設備や自炊設備もあるため、国内外の劇団やダンスカンパニーが次々訪れ、24時間自由に創作活動に打ち込んでいる。
滞在期間は3日から最長3カ月間。完成した作品の発表やワークショップ、講演会なども開催され、古くから文人墨客に愛された城崎温泉は、いまは観光客だけでなく、外国人アーティストたちが日常的に出歩くまちになった。

市のアートセンター移行にあたって協力をしたのは、たまたま講演会で豊岡を訪れ、意見を聞かれた平田さんだった。フランスから芸術文化勲章シュヴァリエを受けるなど、世界で活躍する劇作家・演出家。助言したことをきっかけに、豊岡を演劇のまちにするため、様々に奮闘するようになった。
アートセンターの芸術監督を務め、昨年は家族と一緒に豊岡へ移住。主宰する劇団「青年団」も豊岡へ移した。小学校で出前授業をし、今では市内全小中学校で演劇的手法を取り入れたコミュニケーション教育が導入されている。
日高町のJR江原駅前、旧豊岡市商工会館(旧町役場)は今春、小劇場「江原河畔劇場」に改修された。劇団「青年団」が3カ月ごとに定期公演をしていく。また出石には、近畿最古の芝居小屋で、歌舞伎上演などで人気の「永楽館」がある。
元から観光資源は豊富な地で、城崎温泉に加え市内に城下町出石、神鍋高原を抱え、近くには湯村温泉もある。
こうしたことをベースに、新しい大学では、地域と連携して、観光業にも芸術文化振興にも必須のコミュニケーション力を養い、地域を元気にする人材の育成を目指していく。
1学年80人定員、芸術文化観光学部同学科(仮称)の専門職大学として構想。芸術文化(舞台芸術、芸術文化全般)と観光の両方を学び、特に実践に力を入れていく。4年で800時間を充てる実習は、日本航空、JR、大手旅行代理店、城崎・湯村のホテルや旅館、県立芸術文化センター(西宮市)、地方自治体などで受け入れてもらう。
卒業後の進路は観光分野として旅行会社、ホテル、テーマパークなど。芸術分野として劇団、劇場、芸術文化団体、地方公共団体などを例示している。
豊岡駅近くの山王町で校舎、学生寮の建設が始まっており、認可を受けた後、10月中旬にAO(総合型選抜)入試、12月に推薦入試、来年2月上旬と3月上旬に一般入試を予定する。問い合わせは兵庫県専門職大学準備課、電話078(362)3377。
写真上=校舎の完成パース
写真下=学長候補者の平田オリザさんによるコミュニケーション演習の模擬授業