保護猫たちがのんびり働く 竹田城跡の麓にカフェ開店
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人間の身勝手で捨てられた猫たちが「スタッフ」として働く保護猫カフェ「Pili Ohana(ピリ オハナ)」が、竹田城跡の麓の城下町、兵庫県朝来市和田山町に開店した。
築100年の古民家を改装した店では、朝の営業時間になると2階の寝室から猫たちがぞろぞろと「出勤」。キャットタワーに飛び乗ったり、仲間とじゃれ合ったり、ソファでごろ寝したりと気ままに働きながら、訪れた人に癒やしの時間を提供している。
(2023年7月12日両丹日日新聞社掲載)
※お店の情報は取材時のものです。変更になっている可能性がありますので、お出かけ前にご確認ください。
古民家を改装したくつろぎの空間
JR竹田駅から徒歩3分。保護猫カフェ「Pili Ohana」は城下町の風情ある街並みのなかにある。
引き戸を開けて中に入ると、古民家ならではの太い梁が印象的なカフェスペースが広がっていて、看板猫のぼっち君が出迎えてくれる。
ガラス窓で仕切られた猫ルームには、8匹のスタッフ猫のほか、里親募集中の猫や生まれたばかりの子猫たちがいて、来店客が抱っこしたり、おもちゃで遊んだりと触れ合うことができる。「ひざに乗せるだけで幸せホルモンが分泌されますよ」と店主の足立薫さん(53)。ふんわり柔らかい毛並みと温かい体温に触れるうちに、人間社会のあれこれを忘れて、安穏とした気分になれる。
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「保護猫」の存在知ってほしい
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店主の足立さんと看板猫のぼっち君
店主の足立さんは、訪問看護師として働きながら、個人で猫を保護する活動をしてきた。50歳を過ぎたことを機に、残りの半生は猫とともに生きようと決意。野良猫を疎ましく思う人も多いなか、保護猫の現状を伝えたいという思いで、空き家になっていた実家を改装し、カフェを開いた。
足立さんと猫との出会いは9歳の時。幼くして母親を亡くした足立さんのもとに、三毛猫がどこからともなくやって来て住みついたという。「まるで母からのプレゼントのように感じました」
20歳で就職が決まり独立すると、同時期に猫は息を引き取った。それからというもの野良猫を放っておけず、これまで40匹以上を保護した。今も自宅で5匹と暮らしている。
複雑な過去を乗り越え、第二の“猫生”を歩む猫たち
「袋に入れて捨てられていた」「けがをした状態で発見された」「高齢の飼い主に飼育放棄された」。みんな複雑な過去を持つ。保護された直後は、警戒して威嚇する子も多いが、ワクチン接種や検疫、人なれトレーニングを経て、立派なスタッフとして第二の人生(猫生?)を歩み始めている。
カフェの飲食代や利用料など売り上げのほとんどは、猫たちの餌やワクチン、通院費に充てる。なるべく寄付やボランティアに頼らない自立した経営を続けるため、足立さんと猫たちの試行錯誤は続く。
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小さな子どもも歓迎 気軽に来店を
猫ルームの入室料は30分500円。家族連れやご近所さんが気軽に利用できるよう、料金は低めに設定している。小さな子どもは入室不可の猫カフェも多いが、動物に親しむ機会になればと、制限していない。毎週来てくれる子や不登校の児童もいて、足立さんは「心のケアにもつながればいいなと思います」と話す。
カフェのみの利用も歓迎。自慢のコーヒー(500円・手作りミニケーキ付き)は丹波篠山市の自家焙煎珈琲豆ショップ「珈琲豆 誠」から豆を取り寄せている。
キーマカレーのランチ(1200円、一日8食程度の予約制)は父親が栽培する自家製野菜を使い、雑穀米のライスと小鉢3品が付く。栄養価にこだわってしまうのは元看護師ならでは。猫ルーム利用でドリンク類は100円引き、食事メニューは200円引きになる。手作り猫雑貨も販売している。
2階にはキャットホテルとレンタルルームを設備。定期的にワークショップやマルシェが開かれ、地域の交流の場にもなっている。
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買うのではなく里親という選択も
このほど、来店をきっかけに知り合ったお客さんと協力して、保護猫の譲渡活動を始めた。保護から検疫、トイレトレーニングなどの世話、里親とのマッチングまでを分担して行う。これまでに3匹の譲渡が成立した。
近年のブームで猫を飼いたい人は多い。足立さんは「ペットショップで買うのではなく、保護猫の里親になるという選択肢もあると知ってもらえたらうれしい」と話している。
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住所 | 兵庫県朝来市和田山町竹田513-1 |
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電話 | ℡090-7886-1269 |
営業時間 | 土・日曜日、祝日 10:00~18:00、平日・冬期 10:00~17:00 |
休日 | 月・木曜日(第3月・木曜日は営業)、第3火・水曜日 ※臨時休業あり 同店のインスタグラムで確認を |
料金 | 【猫ルーム】 30分500円、1時間1000円、2時間1500円 フリータイム3000円 |
2023年7月12日更新