作り手の熱が伝わる 工場直売店
レアな商品、お得な品にも会えるかも
スーパー、専門店など全国の店頭に並ぶ商品を作っている工場が北近畿にも多い。その中には直売店を持っている工場もある。お客さんには作り手の熱い思いやこだわりが伝わり、工場側にはお客さんの視線や反応が直に感じられる。そんな、生産者と消費者互いの顔が見える工場直売店。スーパーではお目にかかれないレアな商品が並んでいたり、時にはお得な商品が提供されていたり。魅力的な工場直売店を訪ねてみた。(2023年2月号)
わさビーフのヤマヨシ直売所
【朝来市】 ポテチ好きの夢の空間
全国に熱いファンを持つポテトチップスを作っている工場と直売店が、朝来市にある。「わさビーフ」が人気の山芳製菓(本社・東京都)の拠点・関西工場。いろんな味のポテトチップスを年間2800㌧(「わさビーフ」に換算して5600万袋)生産している。
使っているのは北海道産のジャガイモ。舞鶴からトラックで運び込み、朝来の良質の水を使っておいしいポテチにしていく。HACCP導入やFSSC22000取得など食品衛生にはことのほか神経を注ぎ生産しているが、大事なのは機械だけでなく、やっぱり人。約100人の従業員が日々スキルアップを図りながら加工にあたっている。
一番人気は35周年を迎える「わさビーフ」(50㌘、標準小売価格130円)だが、「北海道リッチバター」(同)、「山芳製菓史上最も高級なポテトチップス トリュフ味」(48㌘、220円)など様々な商品があり、中井正憲工場長はお気に入りを聞かれると、しばし迷い悩んで「明太マヨビーフ」(47㌘、130円)を挙げた。
直売店は工場と道を挟んで隣にある。以前コンビニだった建物を改装して「わさビーフのヤマヨシ直売所」にした。
店内には、なかなか入手できない特別な商品もズラリと置いてあって、ポテチ好きには夢のような空間。「普段目にしない商品や、あの味のポテトチップスをと、遠方からもお客様がお見えになります」と取締役OEM担当役員の坂本順さん。運がいいと、お得な商品に巡り合うこともできる。
朝来市伊由市場569-2 ℡079(668)9002
(営)9:30~18:00
(休)月曜日
和久傳ノ森 久美浜工房とMORI
【京丹後市】 京丹後で生まれる京の名店の味
京都市の料亭の名店・和久傳が、故郷の京丹後市で苗木を植樹することから始めた「和久傳ノ森」づくり。豊かに育った木々の中に、美術館「森の中の家 安野光雅館」と「工房レストランwakuden
MORI」がある。レストランにはショップもあって、隣接する「久美浜工房」で製造した、紫野和久傳のお菓子や総菜などのおもたせを販売している。
伊勢丹新宿店、松屋銀座店など各地に開くお店で人気の代表商品「れんこん菓子 西湖」(紙箱10本入り3564円)は一本一本手巻きされ、京の炊きもの「和煮」シリーズ(ちりめん山椒864円、牛しぐれ1944円など)も火加減を見るために、常に人がつく。計量や箱詰めなどの包装も一つ一つ手作業で行われ、手間暇かけて商品が出来上がる様子を、工房中庭の回廊から見学することができる。
これら、昔も今も愛される京の味に加え、美術館のミュージアムショップにもなっていて、安野光雅さんの愛らしい絵柄を生かした限定商品も扱っている。
工房レストランwakuden MORI
京丹後市久美浜町谷764 和久傳ノ森 ℡0772-84-9898
(営)10:00~18:00
(休)火曜日(祝日の場合は翌日)
天橋立ワイナリー
【宮津市】 見学、食事、買い物、“幻のワイン”も飲める
天橋立を臨む自社農園で育てたブドウを使い、仕込みから貯蔵まで一貫した純国産ワインを醸造している天橋立ワイナリー。館内では、自社製をはじめ多種類のワインやグッズを販売している。“幻のワイン”と呼ばれる発酵途中のワイン「フェダーロータ」、ブドウの香り豊かな白ワインソフトクリームなど醸造所ならではの限定商品もある。
ほかにも、ドイツ製の醸造タンク・瓶詰室、地下ワインセラーの見学ができたり、天橋立一望の地元食材を使ったレストランやパン工房を併設していて、家族みんなで楽しめる。
ワイナリーでしか飲むことができない「フェダーロータ」1杯200円。甘い味わいと、発酵中に出る炭酸ガスを含んだ泡立ちが特徴。アルコールは2~3%。数日後には辛口へと変化する
レストラン
地下ワインセラー
宮津市国分123 ℡0772-27-2222
(営)10:00〜17:00(見学・ショップ)
(休)水曜日
日本一おかき処播磨屋本店 豊の岡工園店
【豊岡市】 公園のような工場の見学もできる
料亭の離れへと続くかのような小径を進むと、池をめぐらし美術館のような建物が見えてくる。日本一おかき処播磨屋本店が豊岡市の豊岡中核工業団地内に構える豊の岡工園。周囲の自然と調和した、公園施設のような工場になっている。
小径は工場内の直売店「豊の岡工園店」につながっていて、人気の「朝日あげ」(贈答缶24袋入1296円)や「はりま焼」(同1426円)、チョコレートでコーティングした欧風の「ユーロの星」(同5個入り24袋2460円)などが販売されている。
2階には利用客のためのコーヒーを用意したラウンジ、工場の製造工程を見ることができる見学通路がある。
豊岡市神美台1-1 ℡0796-26-0001
(営)10:00~18:00
(休)無(年末年始除く)
舞鶴かまぼこの老舗 嶋七
【舞鶴市】 季節限定、創作…多彩なかまぼこ
1920(大正9)年創業。西舞鶴港が目の前の工場で、4代目の嶋田克己さんを中心に伝統の製法でかまぼこづくりを続ける。
主な原料は、白グチ、スケソウダラなどの選びぬかれた魚のすり身。季節によって変化する繊細な魚の身を、天然塩と熟練した職人の技で丁寧に練り上げることで、魚の旨味を引き出していく。細かな温度管理で蒸し上げたプリプリッとした弾力のある食感が特徴で、「かまぼこはやっぱり嶋七さん」と地元から熱烈な支持を受ける。
北近畿のスーパーマーケットに卸していてなじみ深いが、実は定番のほかにも多彩な商品を製造している。カニと魚の身を合わせて甲羅に詰めた贅沢な逸品「舞鶴かに物語」(9~4月限定)、地元の名所にちなんだ「赤れんが蒲鉾」(1~10月限定)、季節の食材を練り込んだ天ぷらも。また、バレンタインや父の日などイベント向けの詰め合わせもあり、小粋な贈り物として人気がある。
工場で直売していて、3日前までの予約で購入できる。商品は同社ホームページで閲覧でき、ネット販売もしている。
舞鶴市北田辺118-21 ℡0773-76-3204
ホームページ
(営)9:30~17:00
(休)土曜日
*注文予約生産の商品が多いため、3日前までに必ず予約を。
やくの花あずき館
【福知山市】 老舗和菓子店のきんつばを製造
1708年創業の老舗和菓子店「伊勢源六たちばなや」(京都市)が、良質な丹波の食材を産地で加工したいと構えたきんつばの専門工房「やくの花あずき館」。
小豆の味が生きるよう浅く炊いた艶やかな羊羹を、透けるような薄い衣で優しく包む。上品な味わいで、店の名物と名高い。種類は小豆のほかに、宇治抹茶、国産のサツマイモ(各162円)、さらに丹波産の黒大豆100%で作る贅沢な黒豆のきんつば(184円)もある。
工房内には、販売と喫茶のスペースを併設。抹茶やコーヒーと一緒にたちばなやの和菓子が楽しめる。
また、毎週火・木曜日はきんつばの製造ラインの見学が可能。運が良ければほかほかの出来たてを食べることもできる(種類は日によって変わる)。
福知山市夜久野町平野2170 道の駅 農匠の郷やくの内
℡0773-38-1166
(営)10:00~17:00 (休) 土・日曜日
2023年2月11日更新