薬膳料理で体ぽかぽか
今年の冬は格別に寒い。冷えきった体、うずくまっているうちに心まで重くなる。そんな悩みを解決してくれる薬膳料理を舞鶴料理学院講師・堀祥子先生に教わりました。試食した記者(冷え症)の体もぽかぽかになりました。ぜひ試してみてください。(2022年2月10日号掲載)
難しい、おいしくない…というイメージの薬膳料理。健康に良いことは分かっていても敬遠してしまう。堀先生は「食べ物には、体を温める、冷やす、うるおすなど効能があります。それを知り、気候や体調に合った食材を組み合わせて作るのが薬膳料理です」と話す。難しく考えなくても、体を温める羊肉は北海道で、熱を冷ますゴーヤは沖縄でよく食べられている。これも薬膳といえる。
「食べることは命をつなぐこと。食べることで、不調の原因を取り除き、補い、自然治癒力を高めることができます。その人の体質にあったオーダーメイドの料理が作れるのも薬膳料理の魅力です」
国際中医師、国際薬膳師、国際薬膳調理師の資格を持ち、薬膳料理に精通している堀先生。学院の「薬膳コース」で薬膳のおもしろさ、奥深さをを伝えている。
今回は季節に合わせ、体を温める料理を紹介してもらった。冷えは、頭痛や腹痛など痛みに通じ、気分もうつうつとしがち。また体温を1度上げると免疫力が高まると言われ、感染症予防につながる。「手に入りやすい食材で簡単にできるので、ぜひご家庭で作ってみてくださいね」
羊肉と酒粕の煮物
羊肉は体を温める食材の代表格
材料(4人分)
羊肉…200g 白葱…2/3本
大根…300g 酒粕…60g
水…2カップ だしの素…小さじ1
砂糖…大さじ2 醤油…大さじ1
みりん…大さじ1 味噌…小さじ4
生姜汁…小さじ2
1羊肉は2~3等分に切る。白葱は斜め切りに、大根は1㎝幅ぐらいのいちょう切りにする。
2鍋に水と大根を入れて火にかけ、煮立ったら、だしの素と砂糖を加え、5分ほど煮る。
3②に醤油とみりんを加える。
4耐熱容器に酒粕と酒粕が浸る程度の煮汁を入れ、ラップをして、電子レンジで1分弱加熱
味噌を加えて混ぜる。
5鍋に白葱を加えてしばらく煮て、大根がやわらかくなれば羊肉を入れ、④と生姜汁を加えて仕上げる。
《この食材に注目》
羊肉
体を温める食材の代表格。近所に羊肉を扱う肉屋さんがなければ、鶏肉でも応用できる。鶏肉には「補気」=元気がでる効能がある。
生姜
肉の臭みを消す。生のままだと発汗を促し体を冷やしてしまう。体を温めたいときは、3分以上火を通して使う。
生姜体を温める、気を巡らす食材。料理の香りも良くなる。
酒粕
体を温める、気を巡らす食材。料理の香りも良くなる。
鮭のもみじ焼き
一見、和食。でも立派な薬膳
材料(2人分)
生鮭…2切れ
A
塩…小さじ1/4
こしょう…少々
酒…大さじ1/2
マヨネーズ…大さじ1と1/2
人参(皮付き)…40g
松の実…3g
ブロッコリー…1/4株
パプリカ(赤・黄)…各1/4個
材料
1鮭は水気をふき取り、Aを振りかけ、しばらくおく。
2人参は皮のまますりおろし、
軽く水気を切って(写真のように巻きすを使うと便利!)
3マヨネーズと混ぜる
4松の実はフライパンで炒って、ビニール袋に入れて麺棒で潰し、③に加えて混ぜる。
5①の鮭の水気をふき取り、クッキングシートを敷いた天板にのせて220℃のオーブンで10~15分ほど焼く。※フライパンまたはグリルで焼いてもOK。
6④を塗って、さらに軽く焼き、器に盛る。
6(付け合わせを作る)ブロッコリーは電子レンジで1分ほど加熱、パプリカは細切りし、サッと炒めて塩こしょうで味を調え、⑤に添える。
《この食材に注目》
松の実
肺や肌を潤し、空咳を解消したり、便通をよくする。中国では仙人食と呼ばれ、滋養強壮や老化防止に珍重されている。スーパーでは中華材料のコーナーにある。
鮭
体を温める食材。皮膚や粘膜を健康に保つ働きもあり、感染症予防にも。
小茴香(ういきょう)ご飯
爽やかな香りが口いっぱいに
材料(4から5人分)
米…2カップ
水…2カップと40cc
酒…40cc
A 小茴香…2g
陳皮(みかんの皮)…2g
醤油…小さじ4
みりん…小さじ1
1米は洗って、分量の水と酒に浸けておく。
小茴香は水で洗って使う
2①にAを加え、炊飯する。
《この食材に注目》
陳皮小茴香(別名フェンネル)
セリ科ウイキョウの果実を乾燥したもの。冷えを取り、胃の調子を整える。腹部、関節、筋肉の冷えを取り、痛みを緩和。
陳皮
みかんの皮を乾燥させたもの。胃腸の働きを助け、気を巡らし気分を落ち着かせる。咳や痰などの改善にも使われる。
教えていただいたのは
堀祥子先生
管理栄養士、調理師、食品保健指導士、健康運動師など多数の資格を持つ、まさに家庭料理のプロ。大学の講師を務め、公民館など地域の講習会でも指導する。
「楽しく作れば、もっとおいしくなる!」がモットー。一人ひとりに気を配りながら、和やかな雰囲気で授業を進める。
舞鶴料理学院
1976(昭和51)年、堀先生の母・河田宏子学院長が創設。包丁を持ったことのない初心者、料理の幅を広げたい主婦、パン・お菓子、こども向け、そして薬膳料理など、さまざまなニーズに合ったコースを開設している。本格的に学びたい人向け、文科省後援「家庭料理検定」の資格取得コースもあり、一級取得者も多く輩出している。また学院は京都府下唯一の料理検定試験会場になっている。
舞鶴市公文名20-18
℡0120-76-2808(電話受付12:00~19:00)
http://mai-ryo.com/
2022年2月10日更新