グリーンと始める新生活
新学期に新年度―、新しい生活が始まる春に、心機一転、観葉植物と一緒の暮らしを始めてみては。部屋に緑が1鉢あるだけで、日々の不安や疲労を癒やしてくれる。初心者向きの品種と世話の仕方を専門店で教えてもらった。
教えていただいたのは、福知山市長田にある植物専門店「リトルリプル福知山店」のスタッフ、佐々木妙子さんと櫻木絢子さん。自身の経験に基づく知識で、育て方、飾り方などを来店客に丁寧にアドバイスしている。
「植物が成長する春は、初心者でも育てやすく、買うなら今の時期がおすすめです」と佐々木さん。最近は自粛生活で家に籠もりがちになり、癒やしを求めて観葉植物を探しに訪れる人が増えている。
一方、「気づいたら枯れていた」「元気がなくなった」という声も多いという。「言葉は話さないけれど生き物。赤ちゃんを育てるように、成長や変化を楽しみながら世話をしてあげると、元気に長生きします」と話す。
水はやりすぎに注意
基本的に水やりは、春から秋は土の表面が乾いたら。根の活動がゆっくりになる冬は、土の中まで乾いたら(品種によってはこの通りではないので注意)。鉢底から水が流れ出るまで、根元に優しくたっぷりとあげる。鉢皿にたまった水はその都度捨てる。時間は午前中が理想。
枯れる原因の多くは、意外にも、水のやりすぎ。土の中が常に湿った状態だと、根が呼吸できず「根腐れ」を起こしてしまうという。「土の乾き具合は、指で土を触って確認してくだい」
【写真】オシャレなデザインの霧吹きを使うと気分が上がる
また、室内は空気が乾燥しやすい。特にエアコンをつける時期は、葉から水分が蒸発してカサカサになってしまうことも。そこで重要なのが、霧吹きで葉に水をかける「葉水」。こまめにしてあげると、葉はつややかになる。ホコリを流したり、害虫予防の効果もある。櫻木さんは「葉水は毎日してあげるとよいです。植物の異常にも早く気づくことができます」とアドバイスする。
生育環境に合った場所に置く
日なたを好む、半日陰が好き、寒さに弱い、丈が高くなる、ツルが伸びるなど植物の性質や形態はさまざま。性質をよく知り、環境にあった場所に置いてあげることが大切。「これから購入する人は、どこに置くか考えてから、環境に合ったものを選ぶとよいです」
葉の色が薄くなるのは、日光が足りていないから。向きを変えたり、レースのカーテン越しに光が入るくらいの場所に移動する。
ただし、植物は激しい環境の変化が苦手。暗い室内から、いきなり直射日光が当たる屋外に出したり、外気との気温差が激しい季節に屋外から室内へと移動するのは避ける。「人間の肌と一緒。急な変化で調子をくずしてしまいます」。日にちをかけて少しずつ慣らしながら、動かしていく。
春から秋に肥料を
肥料は植物が成長する春から秋に、定期的にあげる。成長を助け、厳しい冬を乗り超える力を蓄えることができる。ただし、元気がないときや冬に与えるのは逆効果なので注意を。
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錠剤肥料 観葉植物用
土に置くだけの錠剤タイプ。植物に活力を与え、葉の色が鮮やかになる「ガーデンエッセンス」もある。「肥料はご飯、エッセンスは栄養剤と考えて使い分けます」
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速効スプレー液
葉に吹きかける活力液。「人間の肌に例えるなら、葉水は化粧水、これは美容液です」
人気・初心者向け おすすめ植物
◇初心者向け
ガジュマル
愛嬌のある太い幹が特徴で、沖縄では妖精「キムジナ―」が宿るといわれる縁起のよい木。生命力が強く、寒さ暑さに強い。日光のあたる場所(直射は避ける)に置くと元気に育つ。フィカスの一種。
◆人気
アジアンタム
細い茎にこんもりとついた小さな葉が、ふわふわと揺れる姿が涼やか。直射日光は苦手で、日陰を好む。乾燥に弱く、水切れに注意を。寒さが苦手なので冬は暖かい部屋の中に置く。
◇初心者向け
フィカス
温帯から熱帯の地域に生息する植物で、800以上の種類がある。常緑、落葉低木、高木、つる性など形態もさまざまで、どれも独特な面白さがある。暑さや乾燥に強く、初心者におすすめ。写真は「フィカス ゴールドコイン」。ドット柄の葉がかわいい。
◆人気
塊根植物
塊根植物とは、北米・南米・アフリカなどに生息する多肉植物の総称。成長するにつれ、茎や根が水分を蓄え、膨らんでくる。野性味あふれる姿に魅了される人が多く、人気が急上昇。育て方は、多肉植物と一緒。日当たりの良い場所を好み、寒さに弱い。写真は、「ユーフォルビア・グロボーサ」。
◆人気
ピレア
形や葉の模様は品種によって個性がある。写真は「ピレア ぺぺロミオイデス」。可愛らしい丸い形の葉が特徴で、都会ではすぐに売り切れてしまうという。耐陰性はあるが、レースのカーテン越しに日光を当ててあげると元気に育つ。
◇初心者
ドラセナ
「幸福の木」、「カンボジアーナ」などドラセナの仲間は50品種以上あり、それぞれ葉の色や模様の種類が異なる。写真は「ワーネッキー レモンライム」。黄緑色のストライプ模様の葉がおしゃれ。
環境が整わないときは、便利なアイテムを活用しよう
困った① 水やりを忘れる…
忙しくて、つい忘れがちな水やり。植木鉢の下に水を入れ、垂らした吸水紐から吸い上げる底面吸水型植木鉢を使えば、やり忘れ、やりすぎも防止できる。
困った② 飾るスペースがない…
狭い空間でも、牛乳瓶サイズなら、気軽に植物を取り入れられる。写真は、ハイドロカルチャー(水耕栽培)仕様で、虫が寄り付きにくく、世話も簡単。
困った③ 日当たりが悪くて…
部屋に日が当たらず植物に元気がない、そんな悩みを解決してくれるのが「グローライト」。太陽光に似た光を発するLEDライトで、当ててあげると植物が育つ。オシャレな間接照明としても使える。
植物をより楽しむ 飾り方のコツ
植木鉢にこだわる
植木鉢次第で、植物の印象を変えることができる。色や形、素材など、洋服を選ぶ気分で、植木鉢を選ぶのが楽しい。
植木鉢と鉢皿の色をあえて変えるのもあり!
個性的な植木鉢。愛着がわきそう。
ブラックの鉢で、男前な印象に
つるす
ツルや葉が長く伸びる植物は、天井からつるしたり、高い棚に置くとその特徴をより楽しめる。
教えていただいたのは
リトルリプル福知山店 スタッフ
佐々木妙子さん 櫻木絢子さん
店内の植物を「この子、あの子」と呼んで、子どものように大切に育てている
リトルリプル福知山店
工務店・HORI建築によるグリーン専門店。店内には、人気の品種からマニア向けの個性派まで250種以上の植物とオシャレなガーデニング雑貨が並ぶ。新生活に癒やしのひと時をと、スプリングフェアを開催中。4月11日まで。入学や就職のプレゼントにも最適な品をそろえる。
福知山市長田小字大野下2109-11 VILLAGEイロトリドリ1号館
電話0773-20-4128
【営】11:00~16:00
【休】水・土曜日、第1・3日曜日
2021年3月29日両丹日日新聞掲載