寒さで体と汚れが固まる前に プロに聞く大掃除
今年もあと1カ月と少し。「大掃除」の三文字がちらつく時期になりました。どうせするなら、体も汚れも冷え固まる年末よりも、動きやすい気候のいまがおすすめ。ハウスクリーニングのプロに、市販の洗剤を使って家庭でできる掃除の仕方を聞きました。
教えていただいたのは・・・・
ダスキンクラウン・サービスマスター事業
クルーチーフ
笠井香織さん
株式会社 ダスキンクラウン
福知山市問屋町 TEL0773-24-0777
掃除をする前に
「ケガをしたり、ものを破損しないよう安全に作業することが大切です」と笠井さんは話す。掃除を始める前には、ものを片付けておく。傷がついたり、薬剤が垂れてしまいそうなところには新聞紙を敷くなど養生(保護)をしておく。漂白剤など強力な洗剤を使うときは、ゴム手袋、保護メガネの装着を。洗剤は使い方をよく読んで、用途に合ったものを選ぶ。
また、天井など高い所の掃除には、脚立やイスを使うと転倒の恐れがあるので、長い柄のモップを用意する。
浴室
ダスキンの依頼件数No.1
年末時の依頼が最も多いのが浴室。カビや湯垢など厄介な汚れが多い。
【写真】笠井さんが以前担当した浴室。カビと湯垢もここまで落とすことができる
カビには、カビキラーなど塩素系の洗剤を吹きかける。液ダレするので、床→壁→天井へと下から上の順番に。必ず窓を開け、換気扇を回しながら作業する。
しばらく置いてから、今度は天井から順にスポンジでこすり、水で洗い流す。手が届かない天井部分は、ダスキンでは脚立で作業するが、家庭では危ないので、長い柄のついたスポンジを使う。
タイルの目地は硬めのブラシでこする。それでも落ちないカビは、塩素系洗剤を染み込ませたキッチンペーパーを湿布のように貼付し、半日くらい放置する。紫や赤色のカビは根が深く、色は薄くなっても完全には取れないことがある。
ここが汚いと匂いの原因になる
浴室を硬いスポンジで強くこするとキズが付いてしまうことがあるので注意を。
キズに湯垢やカビが入ると汚れが落ちにくい。
カランや鏡についた湯垢は、中性洗剤を付けた柔らかいスポンジで洗う。
メラミンスポンジで優しくこすっても効果がある。
なかなか取れない鏡やガラスの湯垢には、ホームセンターや100円ショップなどで売っている、ウロコ取りスポンジも有効だが、長い間放置され石のように固くなってしまった湯垢は取れない場合があるという。その時は無理やりこすって素材を傷める前に、プロに頼む方が良い。
レンジフード、換気
掃除の仕方が分からない…との声が多い
この時期、ダスキンで2番目に依頼の多いのがレンジフード(換気扇)。
天ぷらや空揚げなど、揚げ物料理が多い家庭は特に汚れやすいので、ぜひ掃除したいところ。
あまり開かない場所なので、中を見るのが怖い気がするが、まずは、できるだけ分解する。
パーツをワイドマジックリンを溶かした40℃ぐらいのお湯につけ置きする。汚れ具合によっては、つけ置きを2回繰り返す。
汚れが柔らかくなったら、ブラシでこすり、洗い流す。
レンジフードの内側も忘れずに。キッチンマジックリン などを使って拭き上げる。
【写真】一つ一つパーツを取り外して分解する
【写真】レンジフートの分解の仕方が分からない人は、プロに任せても
【写真】手が届きにくいところですが、レンジフードの内側にも油汚れが。
各種洗剤はホームセンターやドラッグストアで購入できる
キッチン
まず、収納棚、キッチンパネル、調理台を水拭き。食べ物を扱う場所なので、汚れがひどくない箇所は洗剤は使わない。
コンロのトッププレートや電子レンジについた油汚れには、セスキ炭酸ソーダ、マジックリンなどのアルカリ性の洗剤が効果あり。吹きかけて、柔らかい布で拭く。ただし、シルバーやステンレスのキッチンは、アルカリ性の洗剤では変色する場合があるので、中性洗剤を使う。洗剤が残らないよう、仕上げに水拭きをする。
油や焦げがこびりついたグリルや五徳は、ワイドマジックリンを溶かした40℃くらいのお湯につけ置き、汚れが柔らかくなったら、ブラシで磨く。
シンクは、クレンザーを付けた柔らかいスポンジで磨く。ゴミ受けはハイターに付け、歯ブラシなどでこする。水道の部分はメラミンスポンジを使うとピカピカに。
【写真】油汚れに強いセスキ炭酸ソーダ入りの洗剤。写真のほかにもいろいろなメーカーのものがある。
メラミンスポンジは常備しておくと便利
窓ふき
せめて年に一度くらいは掃除しておきたい窓。大掃除の定番ともいえる。
新聞紙などを活用する人もいるが、笠井さんらダスキンスタッフはスクイジーを使う。簡単で、拭き跡も残らずきれいに仕上がる。
まず、大きな汚れを拭いて落としてから、雑巾やホースなどで、窓に水をかけて濡らす。
そして、スクイジーを窓の上から下におろして水を切っていく。
一回水を切るたびに、渇いた布でスクイジーのゴムの部分を拭く。まんべんなく水を切ったら、最後にまわりと窓枠を渇いた布で拭く。
【写真】プロは一筆書きのように左右に動かしながら使うが、家庭では上から下へ真っすぐ下ろすやり方が簡単でおすすめ。
室内の窓を拭くときは、窓下を新聞紙でカバーしておく
網戸は全体に水をかけて、雑巾で拭くくらいでOK。劣化した網戸は破れることがあるので注意を。
サッシにたまったほこりは、溝用のブラシや歯ブラシなどで掃く。
ペットボトルに装着するブラシもあり、水で汚れを流しながら磨けて便利。
【写真】ペットボトルに装着して使うサッシブラシ。栓の開閉もワンタッチでできる
【写真】ホームセンター、100円ショップなどでも販売している
体力と気力のいる大掃除。「高齢の方や共働きの方、エアコン、レンジフードの掃除の仕方が分からないという方からの依頼が多いです」。
無理してケガをしたり、ストレスがたまっては本末転倒。気持ちよく年始を迎えるためにプロに頼むのも一つの方法です。
2020年11月22日掲載