閉じこもっていた体と心をリフレッシュ! 大江山で秋空ハイキング

 澄んだ空気、抜けるように高い空、紅葉に染まり始める山。気持ちの良いこの季節、ハイキングで体と心をリフレッシュしたい。
大江地域観光案内倶楽部会長の赤松武司さんの案内で大江山を歩いてみました。
運動不足の記者でも楽しく巡れるコースです。皆さんも気軽に挑戦してみてください。 

コースを紹介していただいたのは

赤松武司さん
◆大江地域観光案内倶楽部会長
◆環境省自然公園指導員大江山担当

大江山を知り尽くしたスペシャリスト。今回紹介してくれたコースをガイドと一緒に巡るツアーも企画している。

見どころいっぱいの大江山!

自然・歴史・鬼伝説 

 大江山は、北の風と南の風が混じり合う地形から、日本北部と南部の草花や樹木が育つ植物の宝庫。これからの季節は木々が紅葉し、一層美しい景色が見られる。昆虫の種類も多く、その昆虫を求めて集まるのか、多種類の鳥がやってくる府内屈指の野鳥の観察地でもある。

 また、源頼光が酒呑童子を倒したという鬼伝説にちなんだ名所が点在。コミカルな顔をした鬼の像や巨大な建造物などフォトスポットも多い。

 さらに、大江山には昭和43年(1968)まで鉱山として栄えていた歴史がある。あちらこちらに遺構が残り、活気にあふれた当時の暮らしに思いをはせることができる。

【コース1】 鬼の遊び場巡り(ミニ)

歩行時間 40分
二瀬川渓流沿いを散策するコース。
距離は短いが、名所や絶景が凝縮されたお楽しみスポット満載で、思い付きでふらりと行ける気軽さも魅力

鬼飛橋をスタート、渓流沿いを歩く

 二瀬川渓流にかかる鬼飛橋をスタート。渓流に沿って森の遊歩道を進む。

渓谷を見下ろす絶景 新童子橋

木造の吊り橋「新童子橋」を渡る。
若干揺れるスリルを味わいながら見下ろす二瀬川渓流の景色は圧巻。

奥行きのある渓谷の景色にしばし見とれる。
11月中旬には紅葉に染まる。

江戸時代の石畳が残る 今普甲道へ

橋を渡ると、江戸時代の宮津-河守間の主要街道だったという「今普甲道(いまふこうどう)」へ。
参勤交代の際も、ここを使っていたという。
当時の石畳が残っていて、古(いにしえ)の人もこの石を踏んだのかと思うと感慨深い。

巨大! 頼光の腰掛岩

 この辺りには、「強羅(ごうら)」と呼ばれる巨大な岩塊がごろごろと転がっている。

その中の一つに、鬼退治の途中で源頼光一行が休んだと伝わる岩「頼光の腰掛岩」がある。
かなり巨大で、頼光はどうやって腰かけたのかと気になる。ひょっとして鬼よりも大きかったのでは!?

さらに今普甲道を進んでいくと、「鬼の足跡」を発見。
約50センチくらいだろうか。鬼の背格好を想像できるリアルな大きさ。
二瀬川渓流を臨む骨岳(こつだけ)の頂上付近にある大岩「鬼飛岩」から、鬼が飛び降りたときについたといわれる。

1027g

こちらが「鬼の足跡」付近から見える「鬼飛岩」(〇で囲った部分)。あんなところから、飛んでくるとはさすがの跳躍力。

「鬼の足跡」まできたら折り返し。新童子橋のたもとのところまで戻り、こんどは橋を渡らずに、今普甲道を真っすぐ進む。

もう一つの鬼伝説!? 美多良志荒神

忘れてはならない名所が、今普甲道を脇に入る階段を上った先の「美多良志荒神(みたらしこうじん)」。
実は、丹波丹後地方には、酒呑童子の鬼伝説のほかに、聖徳太子の弟・麻呂子親王が鬼を倒したという伝説も残る。
「美多良志荒神」には、その時に活躍した白犬が額に付けていた鏡がまつられているのだとか。
  恋愛成就、難病治癒に霊験あらたかと聞き、参ろうかと迷ったが、長く続く階段を前に足腰に自信のない記者はまたの機会とすることに。

 美多良志荒神ののぼりの近くにトイレもある。

 最後は、酒呑童子の里の入り口に出る。

【コース2】 鬼の散歩道

歩行時間 1~1時間半

 緩い坂道が続くが、山の景色に癒やされながら楽しく歩けるコース。
歩きなれていない人でも、心地良い程度に疲れを感じる、ちょうどいい距離

 宿泊施設「大江山グリーンロッジ」駐車場がスタート地点。

 鬼退治のため、山伏に扮した源頼光一行たちに遭遇した。

 「いざ共に参ろう!」と言っているようで、心強い。

鉱山時代はこの周辺で1000人ほどが暮らしていて、郵便局や購買所、社宅などが並んでいたという。
現在は体育館として使われている建物(写真)はもとは映画館だった。 
建物内には、映画館のイスや映写室が当時のまま残っている。
当時は、たくさんの人でにぎわっていたのだろう。

 道中、たびたび出会う鬼たちはみんな表情が違い面白い。それぞれ名前もある

 

あちらこちらで鉱山の遺構を発見

緩やかな山道を登っていくと、坑口跡など鉱山の遺構が発見できる。
どれも草木が生い茂り、寂寥(せきりょう)とした景色が広がる。

  少しずつ標高が高くなる。

  所どころに見える、暗緑色に輝く岩肌は、蛇紋岩が露出したところ。鉱物資源を含んでいるという。

まるで木のトンネル トロッコの軌道跡

やがて鉱石や物資を運んだトロッコの軌道跡を利用した小道へ入る。
枝葉が重なりあい、木漏れ日が降り注ぐ様子が幻想的で、
「木のトンネル!」と思わず叫ぶ。

酒呑童子復活のモニュメント

この先に何が…と進んでいくと、高さ8㍍の巨大な鬼の建造物が出現。
ウルトラマン、ウルトラセブンなどを手掛けたアートディレクター・成田亨さんの作品で、酒呑童子を中心に茨木童子、星熊童子が並んでいる。
平安時代の悪さをしていた時ではなく、現代に復活したとのストーリーで作られた。

 酒呑童子の視線の先には京都がある。

 

勇壮な千丈ケ滝を間近で

遠くに見える山並みを眺めながら歩いていると、川のせせらぎが聞こえ始め、千丈ケ滝に到着。
飛び石を渡れば、勇壮な姿をより間近で観賞できる。
幅6㍍、高さは25㍍あり、優雅に天を上る竜のようにも見える。

 

滝でマイナスイオンをいっぱいに浴びたあとは、紫色のかわいい「アキチョウジ」など秋の草花を見つけながら、下り坂を進む。

 
多少、足のもつれを感じながらも、気分は爽快。スタート地点のグリーンロッジに無事戻ることができた。

 

ハイキングで気を付けること

◆服装は、長袖長ズボンで。スズメバチ対策で、なるべく黒っぽい服装は避ける。
◆また、朝と夜は「動物の時間」。ハイキングは、十分に明るい時間に。
◆クマよけに鈴など音の鳴るものを持ち、2人以上で歩く。

2020年10月27日掲載

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