「自分らしく生きる」ために 生前整理

生きているうちに、財産や荷物など身辺の片付けをする生前整理。新型コロナウイルスの流行、災害の頻発など、危険を感じることが多く、若い世代でも取り組む人が増えています。生前整理アドバイザー認定指導員の瀧本ルミさんに、どんなことをするのか聞きました。
生前整理は何のため?
生前整理をする理由のひとつは、残される家族のため。
遺品の整理は、肉体的にも精神的にも疲弊する作業なので、生前整理をしておけば、遺族の負担を軽くできる。
そして、もうひとつは、自分自身のため。物や思い出を整理することは、人生を整理すること。
瀧本さんは「心も一緒に整理され、気持ちが前向きになれます。生前整理はこれからの人生をより良く生きるための『究極のお片付け』。まさに、生きるための活動です。年齢に関係なく、いつからでも始めて下さい」と話す。
まずは、荷物の整理から
生前整理でまず始めるのは、物の整理。
一度に全ての荷物を整理するのは大変なので、洗面台、キッチンなど場所を絞って進めるとよい。

【写真】 4つに分けたシートの上で分類するとやりやすい
何をどのくらい持っているのかを把握するため、その場に全部出してみる。それを①いるもの②いらないもの③迷うもの④移動するもの(適所にないもの)の4つに分ける。
①は収納し、②は処分する。③の判断がつかないものは、とりあえず段ボールなどに詰めて封をしておく。半年経っても開けることがなかったら、それは、いらないもの。捨てることが忍びないなら、人に譲ったり、リサイクルショップに売るなど、手放す方法を考える。
★大切な品は「思い出箱」に収納

④の「移動」の中には、手紙や絵など、思い出の品も含まれる。これらは「思い出箱」を用意し、そこに入る分だけを残すようにする。思い出は増えていくので、箱の中身は随時更新を。
★「私の人生」が詰まったマイ・ベストショットアルバムを作る
何冊ものアルバムや段ボール箱いっぱいの写真。処分に困る人は多い。思い切って、一冊にまとめて「マイ・ベストショットアルバム」を作る。
まず、生まれてから現在まで、人生の節目の写真の中から、お気に入りの100枚を絞り込む。
さらにその中からベスト30を厳選し、コメントを加えながらスクラップすると「私の人生」が詰まった一冊が完成する。
アルバムは収納しやすい、小さめのサイズがおすすめ。災害時なども持ち運びでき、家族の歴史として、子どもに引き継いでもらいやすい。
一年に一度見直して、新しい思い出を追加していく。
「家族と一緒に作業すると、忘れていた思い出や、知られざるエピソードなどで盛り上がりますよ」




情報はまとめて家族と共有

預貯金、証券、不動産などの書類、保険証券などは、家族が分かるようにまとめておく。
最近多いのがスマホやパソコンに保存された「デジタル遺品」。パスワードやIDを一覧にして書き留めておき、もしもの時は、家族だけに分かるようにしておく。

写真は、ファイルボックスにまとめた例。家族で共有できるよう、ラベリングも大切
★最期まで自分らしく― 理想の葬儀をプロデュース
家族が困らないように、また、自分らしい最期を迎えるために、理想の葬儀を考えておく。豪華か、質素か、それとも家族葬か。遺影は、友人や職場といった訃報の連絡先は…など具体的に書き出し、家族にも伝えておく。
「家族と話しながら考えるのが理想。故人の希望に沿えたのだろうか、と後悔を残さずに済みます」
未来に向けて
★やり残しリストの作成
自分の葬儀や死後について考えていると、逆にやり残したことや挑戦したいことが明確になる。それらを書き留めた「やり残しリスト」を作成し、未来を見据えた計画を立ててみる。瀧本さんは、「この作業をしたとき、まだまだ死ねない!と、元気になりました」と話す。
★大切な人へ気持ちを伝える
大切な人に手紙を書くことも勧めている。「生前整理で人生を振り返るうちに、今の自分があるのは当たり前ではないのだと気が付きます。少し照れくさいですが、親や周りの人たちに、感謝の気持ちを伝えてみてください。心がすっきりして、生きる力が湧きますよ」
教えていただいたのは

生前整理アドバイザー2級認定指導員
瀧本ルミ さん
自身の父親が亡くなった時の経験から、生前整理の大切さに気が付き、認定指導員の資格を取得。自宅やオンラインで認定講座を開く。
ほかに、整理収納アドバイザー1級の資格を持ち、継続型の片付けレッスン「おうちレッスン」や訪問お片付けサポートなども行っている。「ルミさんのるんるんのおうち」主宰。福知山市在住。
受講の問い合わせは℡080-3853-6183
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