3密避けて甘~い蜜を 森の恵み・ハチミツ

夏バテ、熱中症予防に

 密接、密集、密閉。3密の言葉に気分が沈みがちな今日この頃。「サンミツ」を避けてとろり甘い「ハチミツ」はいかがですか? 

 季節ごとに咲く花から花へ、ミツバチたちがせっせと集めるハチミツは150種類以上の栄養素を含み、夏バテ予防や熱中症対策に役立つ、まさに森の恵みです。

 市場に並ぶほとんどを外国産が占め、国産はわずか5%ほど。北近畿の養蜂家が採集する貴重なハチミツを紹介します。

【福知山市大江町】 大槻蜂牧場

京都北部の豊かな森の百花蜜

 【写真】農薬の影響を受けない人里離れた山の中に蜂場がある。市街地よりは涼しいが、日中、長袖長ズボンで行う作業は過酷。クマがくることも!

 大江山の標高600m付近、人の手が入っていない深い森の中にミツバチの巣箱が並ぶ。ブンブンと羽音が飛び交うなかで、養蜂家の大槻昭彦さんが巣箱の様子を見て回る。

 大槻さんは、地元大江町で1996年から養蜂を始めた。現在は大江町のほかに、舞鶴市神崎、多祢寺など5カ所に約70個の巣箱を置いている。

 1個の巣箱につき約4万匹、合計280万匹ほどを飼育。病気は無いか、エサは足りているか、ハチに問いかけるように優しく作業する。巣箱に蜜がぎっしり集まったら、加工場へ持ち帰り、遠心分離機にかけて絞り出す。1週間先の天気まで気にかけながら、10月ごろまで採蜜は続く。

 ミツバチが集めるのは、アカシアやトチ、カラスザンショウなどの花の蜜。美しい黄金色、奥行きのある豊かな風味、爽やかな柑橘系の香りが特徴で、東京や京都のデパートで販売され人気がある。

箱の中にセットした巣礎枠にミツバチたちが巣を作っている

一つの巣箱の中にいるミツバチは約4万匹。まさに3密状態! これだけいても、女王バチは一匹だけ

ハチの様子をみる大槻さん。優しい眼差しで、話しかけている

ハチミツは福知山市内の浅草家で「光秀はちみち」として売られている

【福知山市】 浅草家

地元産のハチミツを使ったかき氷が食べられる!

 たい焼きやわらび餅など、こだわりの食材で作った「庶民の味」を提供する浅草家では、大槻蜂牧場のハチミツを使ったかき氷「蜂蜜バナナ&バナナ」(税込700円・写真)が味わえる。

 濃厚なバナナシロップを2度がけした手削りのフワフワかき氷に、凍ったバナナを乗せ、最後にハチミツをたっぷりかける。バナナとハチミツ、相性抜群の両者が贅沢に混ざり合い、華やかな甘みと香りが楽しめる一杯。

 ほかに、同店名物クロワッサンたい焼き「プレミアムカスタード」(税込300円)にもハチミツを使用している。

 また、大槻蜂牧場のハチミツを「光秀はちみつ」と名付けて店頭で販売している。100g1000円、200g1600円、400g2800円(いずれも税込)。

カリっと香ばしい皮のクロワッサンたい焼きプレミアムカスタード。ただ甘いだけでない、奥深い味わい

自動ではなく、手動で氷を削る。絶妙なふわふわ加減は、まさに匠の技

バナナシロップを贅沢に二度がけ。「最高に美味しいで~」と河井さん

浅草家の店主・河井さん(右)と大槻さん(左)が同級生だったことからコラボ商品として実現

福知山市中ノ51-1
℡0773-24-0246
(営)11:00~19:00 
(休)火・水・木曜日

【豊岡市日高町】  辻井養蜂場 

淡路島から北海道へ 移動しながら養蜂

 【写真】北海道の北部、中川町にある蜂場。秋までここで養蜂をする

 桜の季節は淡路島、レンゲが咲いたら但馬へ戻り、5月は香美町でトチ、夏はアザミや菩提樹を求めて北海道へ。花の時期に合わせて、ミツバチと一緒に移動しながら、ハチミツを採集している。

 創業は1948年。50年前から本格的に養蜂を始めた2代目の辻井健一さんが妻の百合子さん、息子の淳也さんと協力し、昔ながらの手作業で行っている。約1500万匹ものミツバチを飼育。一日に30箇所刺されたこともあるが、「小さな体で、さぼったりせず一生懸命に蜜を集める姿がかわいいです」とハチへの愛情は深い。

 豊岡市にある直営の店舗には、自家採集した約10種類のハチミツが並んでいて、それぞれに味や香り、色が違う。レンゲはやさしく上品な味、トチ(マロニエ)はまろやかな甘みが特徴。あっさりして料理に使いやすいアカシア、ハーブのような爽やかな香りの菩提樹、独特の色と香りがするソバは鉄分を豊富に含んでいて女性に人気という。

 求めやすい価格の115g(税込864円~)から特大の2㎏(税込4698円~)まで、用途に応じてサイズをそろえる。パンにつけたり、コーヒーに入れたり、青魚の煮物や三杯酢など、料理に使うと味に深みがでる。

 蜜ろうやプロポリスなど関連商品もある。

中学生のころから家業を手伝ってきた辻井さん。ハチが身近にいるため、辻井家の子どもたちはハチを怖がらないのだそう

115gの小さいサイズは、食べ比べを楽しみたい人に最適

時期によっては、巣蜜がお店に並ぶことも。栄養満点。花粉も食べられる

豊岡市にある直営の店舗。テレビなどの報道で、ハチミツのパワーを知り、多くの人が連日訪れるという

【直売所】
豊岡市日高町浅倉248-1
℡0796-42-2329
(営)10:00~18:30 
(休)水曜日 
全国発送も受ける

2020年8月22日号掲載

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