肉のまち 福知山

職場の宴会、行事の打ち上げ、スタミナ付けなどでよく食べられる焼肉。福知山は、焼肉店が電話帳に載っているだけでも20店以上あり、2年前から“肉のまち福知山”として売り出している。

文明開化後、牛を食べる文化が広まる

最古の牛肉料理は、江戸時代に彦根藩主が将軍家や御三家への献上品として作っていた「味噌漬け」と言われている。文明開化後、横浜や長崎の居留地で牛鍋(すき焼き)を生業とする人たちが現れる。そして昭和20年(1945)頃、焼肉屋のルーツとされる「明月館」(東京)と「食道園」(大阪)が開店。経済成長に伴いブームとなり、今日に見られるような、様々な部位の中から好きなものを注文し、自分で焼くという日本独自のスタイルへ進化していった。

西日本三大家畜市場の一つ

  牛肉を食べる文化が広がっていく中で、福知山は特別な場所だった。

【写真】共進市の様子(昭和41年10月)

 明治44年(1911)11月、現在の西本町、NTTの大きな鉄塔が立つ場所に「山陰常設家畜市場」が開設された。のちに市営となり、最盛期の昭和33年(1958)には年間2万2千頭を超える牛が入場、昭和46年(1971)には取引総額が17億円を超えたという。取引範囲は、近畿一円はもとより、四国各県・東海地方・遠くは東北地方にまで及び、当時、大阪府貝塚市、広島県尾道市と並んで西日本三大家畜市場の一つとして食肉の流通を支えていた。

「馬喰のまち」としてにぎわう

  市場は毎月9のつく日に定期的に開催され、市があるたび駅前には馬喰(牛や馬の仲買商人)が集まり、宿屋や飲食店が軒を連ねる「馬喰のまち」としてにぎわったという。

【写真】昭和36年当時の市営家畜市場

市街地の拡大や車社会の到来、都市計画の問題などから、家畜市場は昭和50年(1975)に牧へ移転。しかし、その頃には畜産農家の減少や牛肉の流通ルートの変化などから入場頭数も減少してしまった。

新しいグルメイベントがスタート

 明治からの歴史に目を向け、焼肉やすき焼きのみならず、鶏料理、ジビエ料理など、福知山から食肉文化の魅力を発信していこうというのが〝肉のまち福知山〟の取り組み。

【写真】今年のフェスには約1万人が訪れた

 2017年9月にはスタートアップイベントとして〝肉のまち福知山〟をテーマに新しいグルメイベントが計画された。しかし、この年は台風のため残念ながら中止。翌年、初めて開催され、3年目となる今年も「ふくちやまMEET×MEATフェスティバル2019」(福知山肉まち協議会主催)と題して10月27日に福知山駅北口公園を会場に開かれた。会場には、福知山をはじめ近隣から29店舗が出て、厳選の肉料理を提供。たくさんの人が集まり、往時を思わせるにぎわいが生まれた。

(取材協力・写真提供 福知山市)

明治38年(1905)創業、厳選した黒毛和種の牛肉と名物の焼き豚で知られる広小路通りの老舗精肉店「中島本店」の3代目、代表取締役社長・中島泰造さん(69歳)にお話を伺いました。

肉屋の上ですき焼きを提供していました

  明治38年(1905)に祖父・中島道太郎が創業しました。私で3代目になります。

 福知山では、明治31年に陸軍歩兵二十連隊が駐屯をはじめ、翌32年には日本国有鉄道の前身の阪鶴鉄道の大阪―福知山間が開通。44年に山陰常設家畜市場が開設されました。

 強靭な身体を必要とする軍隊では肉食が不可欠とされ、特に牛肉が大量に消費されました。福知山の駐屯地でも牛肉の需要が多かったようで、私の所も陸軍の御用達で肉を納めていました。玄関の上の看板には「官御用達」の文字が残っています。

 広小路は福知山を代表する繁華街でした。映画館が3つもあり、ずいぶんにぎわっていました。特に福知山踊りの時期は最高潮で、大勢の人たちが一晩中踊り明かしました。おなかをすかせた人たちのために大正時代になると肉屋の上で食堂を始めました。カレーライスやハヤシライス、そしてすき焼きを提供するようになりました。

【写真】昔のすき焼き用のテーブル

当時、肉料理といえばすき焼きで、炭火に鉄鍋をかけて作っていました。実際に使用されていたすき焼き用のテーブルが残っています。同じ広小路の津田家旅館さんや新町の肉屋さんなど、同じように提供する店がいくつかありました。そんな光景が、昭和25年(1950)生まれの私が小学校に上がる頃、昭和30年頃まで見られたように思います。

株式会社中島本店

福知山市東長55(広小路通り)
TEL0773-22-2038

御肉料理 竹下

福知山の名店

 蔵のような重厚感のある外観で、店内に入ると純和風ながらモダン。静かな空間でゆっくりと、厳選された「特選和牛」を味わうことができる。特に人気が高いのが、最高級の霜降り牛を炭火でサッとあぶって食べる「網焼き」(3000円、8000円)。肉本来のうま味が堪能できる。ほかに網焼きステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶ。コース料理は、様々な部位が楽しめるおまかせ5000円コースから各種用意している。いずれも、付きだし、野菜、サラダ、ごはん、漬物が付く。

また、牛さしみ風、しぐれ煮、ローストビーフなど一品料理も豊富。お昼は、塩タン定食(700円)、焼肉どんぶり定食(900円)などお得な定食類もある。

福知山市駅南町3丁目134番地 TEL0773-23-1014
(営)11:00~22:00(L.O.21:30) (休)火曜日  Pあり

駅北酒場 肉山田肉男

にぎやかな焼肉ワンダーランド!

“肉山田肉男”とは一度聞いたら忘れない店名。「肉のまち福知山」の玄関口、福知山駅北口からすぐ、「昭和の高架下で焼肉を食べられる酒場」をコンセプトにした肉バル。肉男イズム三箇条、【其の壱】安かろう旨かろう!【其の弐】焼肉はタレが決め手でしょ!【其の参】ホルモンで呑むでしょ!を掲げ、独自ルートで仕入れた焼肉の王道、肉男カルビ、ハラミステーキ、和牛トロ肉3秒炙り、てっちゃんなど肉料理を豊富に取りそろえている。

 また、週替わりメニューでは、肉チャンジャ、アヒージョなど居酒屋のおつまみなども多数、低価格で提供する。ドリンクはセルフ式の飲み放題(30分、税別290円)。

福知山市駅前町2番地 TEL0773-25-0290 
(営)18:00~24:00(L.O.23:00)※金・土曜日は3:00(L.O.2:00)まで  (休)なし  Pあり

やきにくの丹の吉

 創業38年、和牛リブロースや分厚い上タン、ハラミをはじめ、上質の肉と手頃な価格で評判の老舗焼肉店。そのサイドメニューが、タンシチュー、彩り野菜のバーニャカウダ、フォアグラの西京漬と一風変わっている。店主の大槻京子さんの息子で料理長の真也さんは20年間、鎌倉のブラッセリ―雪乃下など、国内外の有名店で腕を振るってきた。その経験を生かし、全国各地から仕入れた旬の野菜を中心に、焼肉店ではまず味わえない創作料理を提供する。

 また、店主の夫が猟師をしていることからジビエも有名。イノシシ、シカ、カモなど「丹の吉名物ジビエ」の中でも、しょう油ダレにつけて焼くイノシシは絶品!

福知山市土師宮町1-216 TEL0773-27-4968
(営)17:00~23:00  (休)火曜日  (P)あり

2019年12月7日号掲載

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