秋の美術館めぐり

スポ-ツの秋、読書の秋、芸術の秋…秋は楽しみの多い季節です。その中で今回は芸術の秋にちなみ、郷土の美術館を訪ねてみました。
※掲載作品は来館時に展示されていない場合もあります。※料金は、企画展・特別展では変わる場合があります。

【福知山市】 福知山市佐藤太清記念美術館

【写真】佐藤太清氏 

 福知山市名誉市民で文化勲章を受章した現代日本画の巨匠・佐藤太清氏(1913年-2004年)の作品を中心に収蔵・展示する美術館。

【写真】最果の旅(1983年)

 佐藤太清氏は、1913年(大正2)に福知山市で生まれた。人生の始まりは、母親のおなかの中にいる時に父親を亡くし、誕生直後には母親をも失うという悲しいものだった。寂しい少年時代を過ごした太清氏が心ひかれたのが福知山の自然であり、絵を描くことだったと言う。

【写真】ダリア(1954年)

氏は、自然が見せる一瞬のきらめきを、写実的な風景画と緻密な花鳥画を融合させた画風であらわし、独自の画法「花鳥風景画」を確立した。現在、同館では日展出品作品19点をはじめとする60余点の日本画と素描、スケッチブックなどを収蔵・展示している。

■現在開催中の展覧会

特別展「福知山芸術交差点」
11月24日(日)まで

 福知山で語り継がれてきた伝説や物語を手掛かりに、作家が伝統工芸作品や歴史・民俗資料、地域に根付いた文化活動を見つめなおし、それらに触れることで生まれたア-ト作品と、幅広い分野の資料で展示構成する。一勇斎国芳(歴史と物語)、村山明、堀安右衞門(伝統工芸)、成田亨(鬼伝説)、船水徳雄(福知山十景)ほか。

福知山市字岡ノ32-64
TEL0773-23-2316
(営)9:00~17:00(入館は16:30まで)
(休)火曜日(祝日の場合は翌日休)
(料)大人220円、子ども110円

【朝来市】 あさご芸術の森美術館

【写真】飛翔(1987年)

 自然に溶け込むように彫刻が点在する広大な野外彫刻公園と、雄大なロックフィルダム(関西電力多-良木ダム)の直下に位置する「あさご芸術の森美術館」からなる芸術空間。春、夏、秋、冬、四季それぞれにさまざまな表情を見せる自然や芸術との対話を楽しむことができる。

【写真】淀井敏夫氏

 あさご芸術の森美術館は、朝来市出身で文化勲章を受章した彫刻家・淀井敏夫氏(1911年-2005年)の記念館として運営されており、淀井氏の生涯作品を屋内外に常設展示する。

【写真】風と鳥と少年たち(1991)

館内には、展示室、アトリエ室、芸術などの情報コ-ナ-があり、あさご芸術の森大賞展や全国こども絵画選抜展等の展覧会、チャイルドア-トキャンプ等の ワ-クショップによる教育普及活動を展開している

朝来市多-良木739-3
TEL079-670-4111
(営)10:00~17:00(入館は16:30まで)
(休)水曜日、祝日の翌日(水曜が祝日の場合はその翌日休)
(料)大人500円、大学・高校生300円、中学生200円

【豊岡市】 豊岡市立美術館-伊藤清永記念館

 1987年(昭和62年)の出石町合併30周年記念事業「現代洋画の重鎮・伊藤清永展」の開催を契機に、伊藤清永氏(1911年-2001年)らから作品の寄贈を受け、その保存と功績の顕彰および郷土の芸術振興のため1989年(平成元年)に開館した。今年30周年を迎えた。

 【写真】妍和(1986年)

 伊藤氏は1911年(明治44年)兵庫県豊岡市出石町下谷に生まれた。白日会・日展を中心に活躍した文化勲章受章の洋画家で、繊細な色線を無数に重ねて描き出される豊麗優美な裸婦像で知られている。

 同館では1年を通して代表作などを収蔵・展示しているほか、年に2~3回の特別展を開催している。また、30周年記念グッズとして、伊藤氏の代表作や豊岡の風景を描いた作品と、伊藤氏が生涯を振り返った手記の直筆原稿を掲載した「言葉折り紙」を販売している。

豊岡市出石町内町98番地
TEL0796-52-5456
(営)9:30~17:00(入館は16:30まで)
(休)水曜日(祝日の場合は翌日休)
(料)大人500円、大学・高校生300円、中学生以下無料

【丹波市】 丹波市立植野記念美術館

【写真】パプア・ニュ-ギニア民俗美術品 

 氷上町成松(現丹波市)に生まれた実業家・植野藤次郎氏(1922年-1999年)は、事業で海外を飛び回る中で美術にも関心を寄せた。特に中国美術には造詣が深く、大コレクタ-として財団法人植野アジア芸術文化振興財団やエンバ中国近代美術館を設立した。

【写真】中国現代絵画作品

 植野記念美術館は、植野氏並びに財団から寄贈された、中国現代絵画、中国景徳鎮陶磁器・陶板画、コンテンポラリ-・ア-ト、パプア・ニュ-ギニア民俗美術品など様-なジャンルの作品を収蔵。企画展・特別展、年数回の館蔵品展を開催し、その一部を紹介している。

 加古川を望む地に建築された豪壮な建造物は、「建物自体も美術品でなければならない」という植野氏の考え方のもと建築されたもので、美の鑑賞と憩いの場として親しまれている。

■今後開催予定の展覧会

【写真】オ-ギュスト・ルノワ-ル「パリスの審判」

印象派からの旅路-ひろしま美術館名品展- 
11月3日(日・祝)~12月22日(日)

 「ヒロシマ」の戦後復興を金融面でけん引した広島銀行。その文化貢献を体現するひろしま美術館の、印象派を中心とする近代洋画と、それに影響を受け日本において「洋画」という文化を確たるものにした日本人画家を紹介します。モネ、ルノア-ル、黒田清輝など

丹波市氷上町西中615‐4
TEL0795-82-5945
(営)10:00~17:00(入館は16:30まで)
(休)月曜日(祝日の場合は翌日休)
(料)大人300円、大学・高校生200円、中学・小学生100円

【京丹後市】 森の中の家安野光雅館

【写真】安野光雅氏

 京都の名店・和久傳の桑村綾会長が、創業の地の丹後のためにと整備した「和久傳の森」に建つ、北近畿唯一の民間美術館。「旅する画家」と呼ばれ、絵本作家としても活躍している安野光雅氏の作品のみを展示する。

【写真】ポルトの町並み/『風景と出会い』(c)空想工房 

 既にたくさんの安野作品を収蔵するが、安野氏93歳にしてなお旺盛な創作意欲で次-と生み出される新作をコレクションとして加え、全国で最も早く公開。各地から大勢のファンたちが足を運ぶ。 

 濃い緑の中にコントラスト鮮やかな黒い外観の建物は、日本を代表する建築家、安藤忠雄氏が設計した。館内は一転して木の優しさにあふれる内装になっている。安野さんの作品を展示するためだけの施設として一から十まで計算し尽くされていて、美術館としては異例の自然の光を取り入れた造りで、「森の中で作品を観ている」感覚に浸れる。

■現在開催中の展覧会

「風景と出会い」展 
12月2日(月)まで

【写真】『銀の匙』より c空想工房


 同時開催として、最新作「銀の匙」初公開。

京丹後市久美浜町谷764
TEL0772-84-9901
(営)9:30~17:00(入館は16:30まで)
(休)火曜日(祝日の場合は翌日休)
(料)大人1000円、中高校生600円、小学生400円

【豊岡市】兵庫県立円山川公苑美術館

【写真】怒った女 河原英雄 ※収蔵品 

 円山川の河口近く、河畔に建てられた美術館。近代以降の美術を中心とした年3本の企画展を中心に運営。絵本やサブカルチャ-の展覧会も数多く手掛けている。

 現在、企画展「彫刻家 秦榮一郎と荻野和彦の世界 - つなぐ-」を開催中。

【写真】木霊(秦榮一郎)

 地元・豊岡市で精力的に創作活動を続ける秦が、刺激を受け続けてきた友人、荻野(播磨・西脇市)に声をかけて実現した二人展。「つなぐ」をテ-マに、彫塑、オブジェなどの立体造形作品を中心に展示、造形美術の魅力を発信している( 2020年1月13日(祝・月) まで)。

 美術館以外にも、円山川を満喫できるカヌ-(ボ-ト)、プ-ル、北近畿唯一の屋外アイススケ-トリンク(11月下旬~3月上旬)、芝生広場などさまざまな施設がそろっていて、丸一日楽しめる。

豊岡市小島1163
TEL0796-28-3085
(営)9:00~17:00
(休)月曜日(祝日の場合は翌日休)
(料)大人 350円、高校生以下無料(企画展)

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