丹波丹後の御朱印巡り

涼やかな風に誘われ  鎮守の森へ

 暑い日が続くが、秋の気配も少し感じられるようになった。特に、緑濃い鎮守の森は涼やかな風がやさしくそよぎ、心を洗ってくれるかのよう。

 神社仏閣を参拝して御朱印を授かるのがブームとなっている。日ごろ足が向かない人も、御朱印をきっかけに参拝するようになり、各地の社寺に心を寄せるようになっているという。これから向かう季節は秋祭りで神社がにぎわう時でもある。御朱印帳を手に巡ってみましょう。

【福知山市】 大原神社

安産の神様 使いのオオカミ 

 「産屋(うぶや)の里」福知山市三和町大原の大原神社は、御朱印ツアーのバスが続くなど脚光を浴びている。授ける御朱印は神社の名前の印の下に2匹の動物。昔から安産の神様として信仰を集めているので、安産の象徴の犬が描かれていると思いがちだが、実は大原神社の「使い」の狼の印になっている。狛犬も狼になっているので、参拝の際に確かめてみよう。 

 綾部藩主九鬼侯の信仰が厚く、江戸時代には京の都の公家衆や、遠く伊予宇和島藩、武蔵(現埼玉)岡部藩の藩主代参があった記録も残っている。

大原神社の大祭に参詣することをさす「大原志(おばらざし)」は春の季語として、古くから俳句の歳時記に載っている。

TEL0773-58-4324

御朱印入門ガイド

◆ご縁を頂戴した証

 大原神社宮司の林秀俊さんは府内約1600社の神社が所属する京都府神社庁の副庁長でもある。林さんは「御朱印は神社をお参りし、神様とのご縁を頂戴した証です。集めてそのままにするのでなく、時々開いて、参拝した神社を思い起こして下さい」と話す。

◆寺院と一緒にしても大丈夫

 御朱印は神社だけでなく寺院でも授けている。同じ御朱印帳に並べて授かってもいいのだろうか。「神社用、寺院用で別々に御朱印帳を用意している人もいらっしゃいますが、一緒に集めても神様に失礼ではありませんよ」と林さん。難しく考える必要は無いとのことだが、御朱印集めに熱中して参拝が疎かになるのは本末転倒。ちゃんとお参りをしてご加護を得たい。

「初穂料」を納める

 御朱印は売り物ではないので、社務所に納めるのを料金、代金とは言わない。では何と言うのか。七五三や車の交通安全祈願などのお供えと同じ「初穂料(はつほりょう)」。その年に初めて収穫された稲穂などの穀物をお供えしたことに由来する。

◆事前に電話で確認を

 御朱印集めはどこを最初にという決まりはなく、思い立った時に思い立った神社から始めることができる。御朱印帳は各神社にあるほか、最近は文房具店でも扱っている。御朱印を集めて20年になるベテランさんは「色んな種類がありますが、墨を弾かない紙質のものをお薦めします」と目安を話す。「御由緒書きを一緒に挟んでいる人もいますが、社務所で受け渡す際にバサバサ落ちて困るのでお薦めしません」とも。「社務所がお留守のこともありますから、事前に電話で尋ねましょう。常駐しておられる神社でも、早朝や夜間、お昼の食事時はなるべく避けるのがマナーですね」とアドバイスする。

【与謝野町】 出雲大社巌分祠

「えんむすび」の文字もありがたい

 与謝野町三河内の出雲大社(おおやしろ)巌分祠(いわおぶんし)は、2種類の御朱印を授かることができる。

 福知山側からだと国道176号線で雲原を越えて与謝野町に入り、町立古墳公園を過ぎてから左折して旧道に入り、右折。案内看板に従って更に左折して谷を奥へ奥へと進むと、大鳥居が見える。正面にあるのが旧社殿で、いまは祈祷所や結婚式場などとして使われている。右手の坂道を上がっていくと、鮮やかな朱塗りの柱が美しい本殿(主殿)の貴宝殿。ここで御朱印を受けられる。

 神社の名前を記した御朱印のほか、縁結びの神様とあって「えんむすび」と筆書きした御朱印もある。初穂料は1枚につき300円。神社名と「えんむすび」の両方を希望した場合は600円。

 ちなみに出雲大社は、2回おじぎをして4回手をたたき、1回おじぎをする「2礼4拍手1礼」。一般的な「2礼2拍手1礼」とは異なることを覚えておこう。

 TEL0772-42-6211

【宮津市】 元伊勢籠神社

 格式ある「本宮」と「両宮」

 宮津市大垣の元伊勢籠(この)神社でも、2種類の御朱印を授かることができる。本宮「籠神社」と両宮「元伊勢宮」。

 そもそも元伊勢というのは、どういう意味だろう。「お伊勢さん」と呼ばれる三重の伊勢神宮。ご祭神の天照大神、豊受大神が、ここ籠神社の地から伊勢に移されたので「元伊勢」と呼ばれている。それだけ由緒があり、社格も高い。本殿(本宮)正面には、伊勢神宮と籠神社にしか祀ることが許されていない五色の座玉(すえたま)が輝いている。

 天橋立を前に、国道178号から続く参道正面に拝殿・本殿。少し離れて奥に、奥宮の眞名井神社が鎮座。「両宮」の御朱印は本宮と眞名井神社を併せた御朱印となっている。

 初穂料は本宮が300円、両宮は500円。

 TEL0772-27-0006

【丹波市】 高座神社

四季カラフルに高校生がデザイン

 時代を映して彩り鮮やかな御朱印も登場している。丹波市青垣町東芦田の高座(たかくら)神社はこの夏、カラフルな四季の御朱印が誕生した。

 デザインしたのは地元丹波市から福知山淑徳高校に通い、アートデザイン系列で学んでいる大木千咲さん(3年)。元からあった四角い御朱印を中央に配して周囲に季節ごとの花やウサギなどをあしらった。

 また、干ばつで困った人びとが神社で七昼夜の雨乞いをしたところ、社殿からアリが出て来て新たな水源に導いたことから「蟻(あり)の宮」と呼ばれ、養蚕ゆかりの神社で「蚕の宮」とも呼ばれていることを、水の流れ、蚕の縁結び糸などに託してデザイン化している。

 初穂料300円。TEL0795-87-0124

御朱印をデザインした大木さん

青垣町東芦田にある高座神社

2019年8月24日号掲載

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