静かな山里に行列の出来る巻き寿司 マイスター工房八千代

 丹波市のお隣、多可町に行列のできる巻き寿司がある。地元の自慢の具材を組み合わせるうち、普通の巻き寿司の1.5倍の大きさになり、テレビでたびたび紹介されて人気に拍車がかかり、地域に活気と元気をもたらしている。

テレビも驚く大きさ
地域の特産品をいっぱい具材にして人気

 多可町は旧中町、加美町、八千代町が合併してできた町。このうち、行列ができる巻き寿司があるのが八千代。八千代特産加工交流会が運営する「マイスター工房八千代」で提供している。

 いろんなものを作って販売しているが、一番人気は、なんといっても「天船巻き寿司」。前日のうちに特産のシイタケ、高野豆腐、かんぴょうを煮たり、卵を焼いたりして仕込みを行い、毎朝4時ごろから巻き始める。巻いて、巻いて、ひたすら巻いて。午前中には、仕込んだ具材が尽きて売り切れ終了となる。1日1500~2000本。土日は2000本を超え、今年の節分には1万8000本を徹夜で巻いたという。

 予約もできるが、1日限定500本しか受けられない。ひっきりなしにかかってくる電話に、スタッフたちが申し訳なさそうに説明する。「すみません、予約は1カ月先まで埋まっています」。予約以外で手に入れるには、売り切れないうちに並んで購入するしかない。そして、並ぶだけの値打ちがあるというので、行列が途切れない。

 最初は味が評価されて話題となり、「静かな集落に行列ができる」とテレビが取り上げ人気が拡大した。大事なのはここから。人気に奢ることがない。「テレビを観て来てくれた人が、『なんだ』とガッカリしないよう、取材時以上に良くしないと」と、味、巻き方にスタッフ一人ひとりが気を配る。巻いた人の名前シールを一本ずつ包装に貼るのは、責任と自信の表れだ。

人よし 味よし 笑顔よし 
もてなしの心が調味料

 工房ができたのは2001年。初年度は赤字だったが、翌年に黒字を計上。以後、右肩上がりで昨年は約2億7000万円を売り上げた。8人でスタートしたスタッフも今は46人に。人口約2万人の町を代表する事業所になっている。モットーは「人よし、味よし、笑顔よし」。これからも、もてなしの心をマイスター(匠)の技で巻き込んでいく。

巻き寿司の生みの親で名物施設長の藤原たか子さん。とってもパワフルで、施設の運営から商品開発、こだわり食材の選定、来店客をもてなすための工夫のあれこれと、八面六臂の活躍ぶり。この人がいたからこそ、ここまでの人気になった。藤原さんに会いたくて足を運ぶ人も多い

農協店舗跡地を利用して整備されたマイスター工房八千代の店内。裏手の旧保育園は喫茶店になっている

巻き寿司(540円)のほか、サバ寿司(1200円~1700円)、サケ寿司(1300円)、季節の惣菜も並ぶ店内。おから、大豆、里芋、ジャガイモなどを使った山里コロッケ(110円)も、たちまち売り切れる

テレビの取材もたびたびある

所/兵庫県多可郡多可町八千代区中村46-1

営/木~日曜日 午前9時~午後3時(ただし商品が無くなれば閉店)

TEL0795-30-5516

2019年4月6日号掲載

お得なクーポン情報はこちら!

著作権について

このホームページに使用している記事、写真、図版はすべてタウンタウン編集室、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前にタウンタウン編集室へご連絡下さい。