消えゆく記憶たどり―母校の木造校舎を空き箱を使って再現 雀部小学校OBの高橋宣光さん
2025年10月02日 のニュース
京都府福知山市土師新町出身の高橋宣光さん(83)=神戸市=が、空き箱のボール紙を使って、1978年に解体された母校・雀部小学校の木造校舎をよみがえらせた。丁寧に作り上げた模型は、本館や体育館などが細かく再現され、記憶から次第に消えゆく校舎を形にした作品として、10月1日から13日まで、野間仁田の芦田均記念館で展示する。
高橋さんは、1954年の卒業生。実家がたばこ店を営んでいて、幼少期にたばこが入っていた箱を材料に、飛行機などのおもちゃを自作して遊んでおり、手先の器用さが培われた。
大学進学前の1965年には、移転に伴って解体された実家の初代たばこ店を、ボール紙で制作。また2018年に解体された二代目の店の模型も作り、思い出の風景を形にして残してきた。
旧校舎の模型については、5年ほど前に計画されていた同窓会で披露しようと、その時期に制作。卒業時の配置を再現するため、当時の写真を学校から借りてコピーしたものなどを基に、記憶をたどりながら作っていった。
「資料が少なくて、残っている写真もモノクロ。分からない部分は記憶だけが頼りで、そこに一番苦労しました」と振り返る。ボール紙を組み立てたり、色鉛筆で色付けしたりして、半年かけてこつこつ仕上げた。
しかし、同窓会はコロナ禍で開催されず、披露する場が無くなった。地元に残る同級生から「多くの人に見てもらえるよう、芦田均記念館で展示したらどうか」と提案を受け、展示会を開くことにした。
そばを走っていた蒸気機関車、校庭の二宮金次郎像も配置した旧雀部小のほか、たばこ店の模型2つも並べる。高橋さんは「卒業生らに見てもらい、当時を懐かしんでもらえたらうれしいです」と話している。
鑑賞無料。開館時間は午前9時から午後5時(入館は同4時30分)まで。火曜日休館。
写真(クリックで拡大)=雀部小旧校舎の模型を見る高橋さん