大内の鏡石伝説を絵本に 地元の芦田さん
2025年05月17日 のニュース
京都府福知山市中六人部・大内地区の山中にある大岩「鏡石」の伝説を後世に残すため、地元の芦田正輝さん(77)=大内山田=が絵本を作った。二つの言い伝えを一つにまとめ、地域活性化への願いを込めて、無理のない範囲でアレンジした。「鏡石伝説を知る人が少なくなってきた。地元への愛着につながる一助になれば」と期待している。
伝説の一つは、大岩の守護神の使いとされる大蛇が、自分の姿を鏡のような大岩に映すと美しい姫の姿になったというもの。もう一つは、木こりの娘が恋人との待ち合わせの際に、自分の姿を大岩に映して髪をすいていたことから、「鏡石」と名付けられたとされる。
現地には、35年前に大内地区が設置した説明看板があり、かつては地元の小学生が遠足で訪れていた。しかし現在は、鏡石のことを知る人が少なくなってきているという。
芦田さんは「文字にして残す必要がある」と考え、分かりやすい絵本にまとめることを思いついた。絵本作りは昨年末から本格的に始め、夜久野町在住の絵本作家・まつざきさやかさんに文と絵を依頼し、芦田さんが監修を務めた。
地元の洞楽寺を縁結びの寺に
絵本では、姫と木こりの娘が同一人物のように描かれているほか、実際に何度か結婚式会場として使われたことのある地区内の洞楽寺(星野光寛住職)を「縁結びの寺」として登場させるなど、柔らかなアレンジが施されている。
絵本のタイトルは『鏡石に伝わるお話』。A5判フルカラー、14ページで200部を作成し、地区内の各戸に配布する予定。また、芦田さんは同寺の護持会総代長を務めており、今後は寺で行うイベントなどでも活用していきたいという。
星野住職(66)は「地域のことを大切にしていきたいという思いが伝わる内容でうれしい」と話す。芦田さんも「鏡石のことを知る機会を増やし、寺も縁結びの寺として親しまれるようになることを願っています」と期待を込めて語った。
写真(クリックで拡大)=作成した絵本