京の伝統野菜「万願寺甘とう」ベトナム出身ティリンチさんが府の制度を活用し三和町で実践栽培
2025年03月13日 のニュース
ベトナム出身のグェン・ティリンチさん(38)=京都府福知山市三和町千束=が、京都府の新規就農支援制度を活用し、京の伝統野菜「万願寺甘とう」の実践的な栽培を始める。6日には研修の開始式があり、地元の技術指導者や後見人を前に、「安定した農業ができるよう、頑張ります」と力強く誓った。
ティリンチさんは出稼ぎのため、2013年に日本へやってきて、大阪の給湯器メーカーで働いていた。同じ境遇だったベトナム人のタイ・チークンさん(37)と結婚し、その翌年に息子が生まれたことを機に、自然が多く子育てしやすい場所を-と、18年に一家で福知山に移住した。
それから温かい地元の人たちと触れ合う中で、永住を決意。三和町千束で古民家を購入し、「将来的に万願寺甘とうの栽培で生計を立てる」という目標を掲げ、昨年4月から松行輝さん(47)=同町梅原=が管理する農園で、国の制度を活用した1年間の研修を受けた。
次のステップとして、府の「担い手養成実践農場」制度を使い、さらに1年間の研修を積むことになった。引き続き技術指導をする松行さん、後見人の大槻是明さん(86)=同町千束=らの力も借りながら、確保した千束の農地を自身で管理。露地栽培から始め、来年以降はハウスでの栽培をめざす。
開始式は、同町千束の三和町農業振興センターであり、府中丹西農業改良普及センターの四方紀良所長(60)があいさつに立ち、「思うようにいかない場面もあるでしょうが、研修で経営的な感覚も養い、ぜひ成功を」と励ました。
松行さん、大槻さんらからもエールが送られ、ティリンチさんは「農家になるとは思っていませんでしたが、好きなことを仕事にして、生活できるのはうれしいです。安定した経営をして、次の世代に残せる農業の形をつくりたい」と伝えていた。
写真(クリックで拡大)=実践農場設置承認通知書を受け取るティリンチさん(左)