2025年度予算案を見る(上) 観光、産業で魅力発信
2025年03月06日 のニュース
京都府福知山市は、総額972億7384万円の2025年度当初予算案を市議会3月定例会に提案した。うち一般会計は471億9千万円で過去最大となるが、人件費の増額や物件費の高騰により、約8割を経常的経費が占める。厳しい財政事情の中で、「幸せを生きるまち」を次世代へとつなぐための事業に取り組むという。重点施策を「観光・産業・情報発信」「医療・福祉・子育て」の2つのテーマで概観する。
万博はPRの絶好機ふるさと納税充実も
市は4月から開幕する大阪・関西万博を「福知山を世界にPRする絶好の機会」と捉え、大江山の鬼伝説▽市の無形民俗文化財「福知山音頭と踊」▽夜久野町の丹波漆▽市民の藤岡八重子さんが設立に大きく関わった日本骨髄バンクと献血を会場でPRする。計798万円を組んだ。
万博でのPRに加え、インバウンド(外国人旅行者)や国内旅行者を呼び込もうと策定した「観光アクションプラン」の推進事業にも2500万円を計上している。「福知山城から広がる 福がいっぱい福知山」をテーマに、「福」のロゴデザインやグッズの作成、市内のイベント拡充、観光マップの作成などに取り組む。
並行して、市場規模が拡大するふるさと納税の獲得にも力を入れる。大橋一夫市長は2月25日の施政方針で、「(現在)年間5億円の寄付額を(最終的に)25億円まで増やす」と表明。来年度はまず6億円を目標とする。
予算として6億1718万円を計上するが、うち3億円は翌年度以降の事業費に積み立てるため、実質的には約3億円で事業を展開していく。具体的には、ふるさと納税型クラウドファンディングを活用した返礼品開発の補助金制度を新設し、魅力ある返礼品の開発を進めつつ、ふるさと納税に取り組む専門部署「ふるさと応援課」の設置で、情報発信などをさらに強化する。
また、農業関連でも稼げる農業応援事業を拡充。市が認定する農産物や加工品の逸品「ふくちやまのエエもん」の専用ホームページがあるが、これまでは各商品の紹介のみだった。これに、新しく購入画面への導線を作って販路拡大を図る。各分野の相乗効果でまちの魅力を広く伝え、観光消費額や農業者の販路を拡大につなげ、地域経済の活性化、将来の財源確保をめざす。
中小企業のデジタル化促進
働き手の減少といった人口構造の変化に対しては、仕事の省力化、生産性向上などを図るため、地域社会・経済全般でデジタル化を進めていく。
中小企業の人手不足などの課題解決に向けた可能性があるデジタル化について、「何をすればよいか分からない」といった事業者、地域のために、先進事例やデジタル技術を紹介する見本市「北京都デジタルパーク2025」を秋ごろに開く予定にしている。予算案には1130万円を計上した。
市内の商工団体、教育研究機関などと協力した実行委での運営を想定し、DX(デジタルトランスフォーメーション)導入企業や地域による事例発表▽農業、建設業、介護など幅広い分野の地域課題に対応したブース展示▽eスポーツ、自動運転などの技術体感コーナーを設け、一般から事業者までが新技術に触れられる催しにする。将来的には近隣市と連携していくことも考えている。
デジタルパークに連動する形で、福知山商工会議所、市商工会が新設するデジタル化・DX化に関する悩みの相談窓口に対して支援をする。予算額は80万円。
また、シニア世代をはじめ、社会人が情報スキルを学べるシニアワークカレッジ事業、将来のIT人材育成をめざすジュニアIT人材育成事業も継続して取り組む。
写真(クリックで拡大)=観光や産業を通じまちの魅力発信をめざす