「文化財を火災から守れ」消防と住民らが連携し、長安寺で仏像の搬出や放水の消防訓練
2025年01月28日 のニュース
文化財防火デーの26日、京都府福知山市消防本部(澤田晴彦消防長)は、奥野部の長安寺(正木義昭住職)で文化財消防訓練をした。消防署員と市消防団員、寺関係者、地元住民が連携し、仏像(模擬品)の持ち出しや初期消火、放水などをして、火災から文化財を守る意識を高め合った。
防火デーは1949年1月26日、奈良県にある法隆寺の金堂が焼けたことをきっかけに、その翌年に制定された。福知山市でも、毎年この時期に合わせて消防訓練のほか、文化財所有者の協力のもと、立ち入り検査をしている。
長安寺での訓練には、地元自治会と寺総代、消防関係の計35人が参加。寺には木造薬師如来坐像と立像、絹本著色仏涅槃図など市指定文化財5点があり、初めに本堂で市職員が、これらの文化財について説明した。
引き続き薬師堂裏手の山から出火した-との想定で訓練が行われ、住職らが消火器などで初期消火をするとともに、119番通報。仏像の搬出も行い、最後は駆けつけた市消防本部、市消防団修斉分団が消防車から山に向けて放水した。
閉会式で、澤田消防長は「訓練では、参加いただいたみなさんがしっかりと連携し、初期消火や文化財の搬出など、迅速、確実に実施していただけました。貴重な財産を自分たちで守る、という気持ちが伝わり、心強かったです」と講評。
正木住職は「訓練していただくことで、早期の火災発見や役割分担の大切さなどが、よく分かりました。寺周辺の水源が限られるなかで、火災の際にどのように文化財を守っていくのか、改めて考えたい」と話していた。