花火大会「段階的に拡大」容認 安心安全を前提に 検証会議が報告書
2024年12月28日 のニュース
京都府福知山市由良川河川敷で今年8月に実施された大規模な花火大会について、安全対策などの議論をしてきた検証会議は26日、報告書を大橋一夫市長に提出した。事故や大きな混乱なく花火大会が終了したことは一定評価できるとし、安心安全を確保することを前提に「段階的な規模拡大を容認する」とした。
花火大会を巡っては、2013年8月15日の花火打ち上げ前に河川敷で露店爆発炎上事故が発生し、観客57人が死傷。以降は開催されずにいたが、再開を求める市民の声を受け、市は「花火大会のあり方を考える会」を2023年8月に設置し、その提言を参考に今年5月、市の考え方を示した。
そんななか、以前の主催団体とは別の実行委員会が11年ぶりの花火大会を開催。市は示していた開催要件を満たすとして後援の立場で関わり、安全対策の検証や経済効果の分析を行う検証会議を今年7月に設置した。
検証会議の委員は、あり方を考える会から引き続いて、社会安全学や法律、地域防災の外部の専門家が務めたほか、市内の各種団体の代表者の計7人で構成。7月から12月の間に計6回の会議を行い、花火大会当日の現地検証や関係機関への確認などを経て、意見を交わし報告書をまとめた。
報告書では、今後の花火大会の規模については、安心安全が確保されるのであれば段階的に拡大してもよいと容認。市の関わり方は、主催者の意見を踏まえ関係機関で協議することとし、有料観覧席は雑踏対策の観点から継続するべき-としている。
主催者に対しては、引き続き出店は市内事業者で、火気はIH(電磁調理器)と炭に限定すること、混雑解消のため、出店数、場所、配置などについて関係機関と協議し決定すること-などを求めた。
報告書は浦中千佳央会長(大学教授)と国松治一副会長(弁護士)の2人が市役所を訪れ、大橋市長に手渡した。
浦中会長は報告書の概要を説明しながら、「事故から11年が経過しても、遺族や被害者の身体的、精神的な傷は癒えるものではないが、まずは、本年の花火大会が安心安全のうちに終了したことは評価できる。来年度開催がある場合、本年度と同等以上の安全対策を望む」と話した。
大橋市長は「来年また花火が実施されるのかどうかということは、今の時点では明確になっているわけではない」とした上で、「安心安全な花火大会ということが最優先事項。報告書の内容を尊重し、しかるべき時期に適切に判断をして、本市としての考え方をまとめていきたい」と今後の方針を示した。
写真(クリックで拡大)=大橋市長(右)に報告書を提出する浦中会長(左)と国松副会長