海眼寺「観音堂」100年ぶりの改修完了、美しい姿を取り戻す 改修記念し御開帳も
2024年12月04日 のニュース
京都府福知山市寺町の臨済宗南禅寺派・海眼寺(芝原三裕住職)の観音堂が、約100年ぶりとなる改修工事を終えた。度重なる水害などによって傷みが広がっていたが、まだ使える木材は使い、朽ちて傾いた柱などには大幅な修繕を行った。美しい姿を取り戻した観音堂に、訪れた檀家らは喜んでいた。
同寺の観音堂は、江戸時代中期に成立したとされる「丹波西国三十三所霊場」にも名を連ね、1750年ごろまでには存在していたと考えられている。
多くの人々の信仰を集めたが、幕末の1860年(安政7年)に火災で焼失。京都南禅寺伝来の千手観音像を譲り受け、77年(明治10年)に再建された。
大正時代にも改修されているが、1953年(昭和28年)に市内を襲った大水害「28水」など、由良川の氾濫で何度も水害に遭って傷みが進んでいたため、「令和の大改修」と銘打って、昨年9月から修復作業を開始した。
市内の宮大工が工事を請け負い、伝統的な建築工法で、まだ使える柱や梁などの木材はそのままに、土壁はしっくいを塗り直し、床板も張り直した。屋根には檀家らから寄せられた300枚以上の瓦が使用されている。
また、千手観音像を納める厨子も全面的に修復。漆や色を塗り直し、金箔も張り直した。なかでも朱色の漆はもともとの色に近づけるよう今回の修復用に特別に調合されたものが使われているほか、仕上げには夜久野産の丹波漆も用いられ、時を超えて当時の輝きを取り戻した。