“鬼好き”が集合 大江町で鬼シンポジウム
2024年12月03日 のニュース
鬼好きが集まり語り合う「鬼シンポジウムinふくちやま2024」(世界鬼学会主催)が11月30日に、京都府福知山市大江町河守中央の町総合会館で開かれた。妖怪研究家や学会員らが講演やパネルディスカッションを通じて、鬼を深く探った。
今年は世界鬼学会ができて30周年になるため、設立当時、学会の事務局長をしていた村上政市・日本の鬼の交流博物館名誉館長が学会の30年を振り返り講話。「不安いっぱいでスタートした鬼学会でしたが、鬼に関する情報を広く発信する団体に成長してくれたことが大変ありがたい」と述べた。
このあと妖怪研究の第一人者で、国際日本文化研究センターの小松和彦名誉教授が「日本の鬼の歴史を振り返って」のテーマで講演した。
小松名誉教授は、鬼は妖怪の一種で、文献上では720年に完成した日本書紀で初めて記述され、その時から恐ろしい存在・現象として認識されていたと説明した。
また政治に従わないものや異邦人、鉱山・鍛冶従事者らに「鬼」というラベルを貼り、恐れてきた経緯を話した。
大江山の酒呑童子伝説は、現代のアニメ映画「もののけ姫」にも反映され、鬼を嫌う都の人たちを悪者にした逆転の発想で作られている事実を紹介。鬼を考える場合、ラベルを貼る側と貼られる側の関係性を知ることが大切と述べた。
このあと小松名誉教授ら鬼に詳しい4人がパネルディスカッション。次世代に鬼文化を伝えていく方法などについて意見を出し合った。
シンポジウムには学会員ら約70人が参加。学会の最高齢者で歌人の馬場あき子さん(96)から祝電も寄せられた。
写真(クリックで拡大)=絵巻物「大江山絵詞」の写真を見せながら講演する小松名誉教授