茶文化とデジタルを融合 長安寺で「電脳無我茶会」 国内外の人と風景共有
2024年11月11日 のニュース
京都府福知山市奥野部の長安寺(正木義昭住職)の本堂で8日、「第1回電脳無我茶会」(実行委員会主催)が開かれ、地域の茶愛好家ら約60人が見学に訪れた。茶会を通じて芸術や自然に親しんだほか、シンガポールや台湾など遠く離れた場所にいる人ともオンラインで会の風景を共有した。
電脳無我茶会は、これまで行われてきた「無我茶会」と「電脳茶会」を融合させたもの。
無我茶会は、1990年に台湾で生まれた茶会形式の一種で、誰もが気軽に楽しめる茶芸。簡素な茶器などを持参した参加者が定刻になると会話をやめ、黙ったまま、決まった数の茶わんに茶をいれて、1杯は自分で飲み、残りはほかの参加者に振る舞う。茶を飲み終えたら音楽などを楽しみ、見学者にも茶を振る舞う。
日本では同寺の先代住職、正木義完氏が国際無我茶会の代表理事を務め、国内外から参加者を募り、京都や東京などで大規模な茶会を開いたことがある。
一方、遠く離れた人とも茶を楽しめたら-と生まれた電脳茶会は、インターネットを活用した茶会。高齢者がデジタル社会に親しむ機会にと30年ほど前から電脳茶会を続ける実行委が、今年3月に無我茶会の存在を知り、同寺に相談して電脳無我茶会を初めて開催した。
茶を通じて自然や芸術を味わう
初めに無我茶会についての説明があったあと、正木住職(65)が家元を務める煎茶道売茶真流のメンバーら10人で茶会を開始。静まり返った本堂には茶を注ぐ音や鳥の鳴き声、風に吹かれた木がそよぐ音などが聞こえ、自然を感じながらゆったりとした時間が流れた。
茶会が終わると見学者たちにも菓子や茶が振る舞われたほか、二胡奏者の劉晋陽さんの演奏、同実行委員長の服部真湖さんによる日本舞踊が披露された。
茶会の様子は終始ビデオ通話で東京、シンガポール、台湾で暮らす人たちが視聴して、互いに言葉を交わす時間もあった。
正木住職は「オンラインならではの難しさもありましたが、普段ならお会いできない人とも一緒に茶会を共有できてよかったです。今後も継続していけたら」と話していた。
写真(クリックで拡大)=静かに茶をいれる参加者たち
写真(クリックで拡大)=シンガポールの視聴者と談笑する時間