毛原の棚田で人間国宝が能楽奉納 元伊勢内宮御田植祭
2024年05月22日 のニュース
京都府福知山市大江町毛原の棚田の一角で20日、元伊勢内宮皇大神社の御田植祭(元伊勢能実行委員会主催)があった。豊作を祈願する祭りで、人間国宝らが能楽を奉納。住民らが斎田で田植えをして、五穀豊穣を願った。
御田植祭は昨年、能楽師や地元住民らでつくる実行委が、農業と芸能が一体となる形式で始めた。今年は実行委メンバーら約30人が出席。内宮神社の後藤公一宮司(70)が斎主となって執り行った。
能楽を奉納したのは、人間国宝の能楽大倉流小鼓方・大倉源次郎さん(66)と重要無形文化財総合認定保持者の観世流シテ方・林宗一郎さん(44)、同じく松野浩行さん(49)の3人。
演目は「淡路」「猩々」「賀茂」で、大倉さんの鼓に合わせて林さんと松野さんが舞や謡を演じ、みやびやかな音色が棚田の里に響いた。
田植えの儀式は地元自治会長の櫻井一好さん(72)と早乙女2人が斎田に入り、丁寧に手植えをした。
林さんは「芸能、農作のどちらも、人に喜んでもらったり、癒やしを与えたりする力があるという点では共通していると思います」と述べた。
大倉さんは「里山にはやはり日本の音がよく似合います。またぜひ里山で収穫した米を使い、炊き出しを行うような時に能を演じて、みなさんに楽しんでもらえるような時間をつくることができればうれしい」と語った。
御田植祭に出席した京都市在住の料理人・奥田匡章さん(45)は「五穀豊穣を願うみなさんの思いが伝わりました。自分も田植えをして、できた米で弁当を作ってみたいと思いました」と話していた。
写真(クリックで拡大)
・斎田のそばで奉納された「賀茂」
・地元住民が斎田で田植えをした