屋台爆発事故から10年 夏の花火大会、市が条件付きで再開容認
2024年05月16日 のニュース
京都府福知山市の大橋一夫市長は15日、由良川河川敷での夏の花火大会の開催について、安全対策などの要件を満たす主催団体から申請があった場合、市は「後援」の立場で関与することを発表した。夏の風物詩であり、官民での実行委員会主催で行われていた「ドッコイセ福知山花火大会」。2013年8月15日の、開始直前の屋台爆発炎上事故で観客57人が死傷してからは開催が見送られていたが、市民から再開を望む声もあり、市が検討。事故から10年以上が経過し、条件付きで再開を容認した形だ。
花火大会の再開を巡っては、22年8月に河川敷で花火を打ち上げた民間団体の市民アンケートで、約3千人が「実施について前向き」との意向を示し、23年3月には市議会に「花火大会への市の後援を求める請願書」が提出された。
請願は不採択となったが、市は同年8月に「花火大会のあり方を考える会」を設置。市内の子育て支援、経済、観光などの代表者、外部有識者ら9人で構成し、市民や被害者、遺族らの意見を聞きながら今年4月に提言をまとめた。市はこれに基づき、今後の市の対応を庁内で検討していた。
後援する要件として、市は「公共的な団体が参画する実行委員会が主催すること」を前提に、大会を営利目的としない▽由良川河川敷への出店の禁止▽万一の事故に備えた保険への加入▽小さい規模からの実施-などを課す。
後援した場合には、万が一の事故発生時に実施主体へ被害者救済の助言、指導を行うほか、事故防止対策がしっかりと行われているかの確認、市民に事故防止対策への協力を呼びかけることなどで関わる。適切な補償額を担保するため、保険料の一部を市が負担する考えがあることにも踏み込んだ。
さらに、大会後に有識者や市民、関係機関による検証会議を設置し、事故対策や運営体制の検証、経済効果の分析を行うほか、今後の大会規模の検討、それに応じた市の実行委への参画なども含めて議論する。
大橋市長は「花火大会開催については、反対や慎重な意見もあったことから、現時点での市の主催、共催は時期尚早と考えるが、単なる名義貸しではなく、市としても前を向いて進んでいきたい」と話した。
市の方針は市ホームページに掲載しているほか、市が把握している遺族、被害者、その家族へ文書を発送して周知をしており、要望があった2人には直接面会して説明し、一定の理解を得ている-とした。
写真(クリックで拡大)=最後の開催となっていた2012年の花火大会。河川敷に屋台が並ぶ光が見える