大呂に移住者呼び込もう “元よそ者”50~60代が活動開始
2024年05月09日 のニュース
京都府福知山市大呂地区の住民たちが、地域の活性化や移住促進を図ろうと動き出した。活動の中心は、地区外から移り住んだ50~60代のメンバーたち。移住者ならではの“よそ者目線”で、愛する地元の魅力発信をしていく。
大呂地区は市北部に位置する中山間地域。かつては600人ほどが住んでいたが、佐藤修自治会長(63)らによると、現在は46世帯123人に減少。少子高齢化や耕作放棄地の増加などの問題が深刻化している。
一方、市が運営する空き家情報サイトを活用するなど、人口減少対策の先頭に立ってきた加藤晋吾さん(77)らの活動が実を結び、2020年ごろから毎年のように移住がある。だが、加藤さんを含めた中心的なメンバーが70~80代を迎え、これまで通りの活動ができなくなってきた。
そこで立ち上がったのは元よそ者たち。2年前に家族で京都市内から移り住んだ松本貴史さん(61)をはじめ、加藤さんの妻で東大阪市出身の良枝さん(59)、綾部市出身の佐藤自治会長ら移住歴30年近い住民たちも一緒になって、「迎え入れてくれた地域に感謝。その恩返しになれば」「先輩たちが築いてこられた大呂を守りたい」「新しいことを取り入れつつ、過疎化や荒れ地の増加を少しでも防ぎたい」と一致団結した。
キャンプ場やレストランなどを有する地区内の大呂ガーデンテラスと連携しながら、「豊かな自然が広がるのどかな地域。だが、市内には長田野工業団地があったり、車を12、13分走らせたら大型スーパーもあるので、働き口や買い物に困ることはない。意外と便利な田舎」という点を打ち出し、移住促進を加速させていく。
取り組みは、誰もが暮らしやすい大呂をめざして設立されたNPO法人ヒューマンコミュニティーが担う。NPOの理事長は加藤さんが務めていたが、4月から松本さんが引き継いだ。
■「地域や農業知って」と田植え体験会を開く■
新たなスタートを切ったNPOの活動第1弾として、大呂や農業のことを若い人にも知ってほしいと、4日に地元の水田で田植え体験会を開催。大呂ガーデンテラスを利用していた大阪府や兵庫県などの家族連れ12人が参加した。3歳の女の子や小学生たちが、半袖半ズボン姿で水田に入り、コシヒカリの苗を手植えし、昔ながらの米作りを体験した。
「田植えをする子どもの笑顔が最高でした」と松本さん。「移住してからは自分で米や野菜を作るようになりました。家族も暮らしになじんでくれて、本当に移住して良かった。田舎の醍醐味を多くの人に伝えていきたい」と力を込める。
今後は、秋に収穫体験会などを計画している。
写真(クリックで拡大)
・地域の魅力発信へ、力が入るメンバーたち
・都市部の家族連れが田植えを体験した