「28水」の未公開資料発見 図書館で展示
2023年10月27日 のニュース
昭和28年(1953)9月、京都府福知山市などに被害をもたらした台風13号による未曾有の大水害「28水」の被害状況を記した市の資料が、市所蔵歴史公文書の整理作業の途中に見つかった。28水発生から70年となることから、駅前町の市立図書館中央館で展示されている。
台風13号は、昭和28年9月25日に和歌山県潮岬東方を通過。各地で猛威をふるい、福知山市でも堤防決壊など大きな被害が出た。当時の市域で死者4人、負傷者788人、家屋流失55戸、全壊428戸などの被害をもたらした。
展示は市教育委員会の企画展「ロビーで文化財」の一環。『昭和二十八年十月 台風第十三号に関する一件 福知山市』『昭和二十八年九月二十五日 台風第十三號被害調査集計表 福知山市』など5冊を展示している。これまで公開されたことはなかった。
資料では、総雨量278・5ミリに達した豪雨の記録、最高で8・1メートルにもなった由良川(音無瀬橋下)の水位の状況が記されていて、当時の緊迫した様子が伝わってくる。また市内の浸水区域や堤防決壊箇所、橋梁の流失箇所を示した略図が添付されている。
災害復旧対策については、被災者の応急収容の人数や臨時保育園の開設、住宅補修の申請などに関して記載。被害調査集計表は3冊あり、自治会ごとに集計した住家の被害状況を2階建て、平屋、間借りに分けて記録し、建物の損壊の割合、畳の被害枚数などが載る。
このほか診療所の再開や人命の救助、復旧、災害防止に尽くした保安隊福知山駐屯部隊と消防団などへの水害功労者表彰についてもつづられていた。
市文化・スポーツ振興課文化財保護係の松本学博課長補佐は「資料の被害状況では、床上・床下浸水に加え、二階上浸水、屋根上浸水についても記されていて、水害のすさまじさがよく分かります。貴重な資料なので、ぜひ見に来てもらいたい」と話す。
展示は11月5日まで。無料。開館時間は午前10時から午後8時(土、日曜、祝日は同6時)まで。月曜休館。
写真(クリックで拡大)=資料に激しい傷みはなく、比較的きれいな状態で保管されている