ハラスメントの無いスポーツ界に 福知山で指導者研修会
2023年10月25日 のニュース
スポーツ指導者による暴力、セクハラなどが問題になるなか、ハラスメントのないスポーツ界をめざし、福知山市スポーツ協会と京都府スポーツ協会がスポーツ指導者研修会をこのほど福知山市内で開いた。大学で教員を育成する教授が登壇。良い指導者とはどんな人物なのか-について解説した。
駅前町の市民交流プラザを会場に、中学校部活動、スポーツ少年団などの指導者80人ほどが出席。びわこ成蹊スポーツ大学で、学校スポーツ教育コース主任を務める川合英之教授が講師となり、「スポーツ界におけるハラスメント防止について」と題して話した。
川合教授は「良い指導者とは何かを考えることがハラスメントの防止につながる」と切り出し、滋賀県にある多賀少年野球クラブの辻正人監督を紹介。以前は子どもを怒鳴るなど、厳しい指導をしていたが、保護者の声をきっかけに指導方針をガラリと転換した。
それが、楽しませる指導。戦術を選手に考えさせ、出たアイデアは全力で褒める。試合前には、「良いプレーができるから楽しいのではなく、楽しいから良いプレーができることを忘れずに」と声をかけた。方針を変えてわずか1年で、全国大会優勝という結果もついてきたという。
良い指導者の実例を学んだあとは、「目的」と「目標」、「叱る」と「怒る」などの違いを説明した。
目的と目標の話では、「部活動などアマチュアの指導では、人間形成や好ましい人格を形成するという目的がある。全国大会出場といった目標だけを掲げて指導することは、ハラスメントが起きるきっかけにもつながる」と警鐘を鳴らした。
叱ると怒るについても、「感情のみで暴言だけ吐くのが怒る。駄目だった理由もしっかり説明するのが叱る。怒るだけの指導はただ怖いだけで、選手はどうしていいのかが分からない」とした。
「目標のみだったり、怒ったりする指導者が、どちらかと言えばハラスメントに向かう傾向にあります。みなさんは、『憧れられる指導者』か、『怖くて嫌な指導者』か、どちらになりたいですか」と問いかけた。
写真(クリックで拡大)=目的と目標の違いなどを説明した