伝統文化守る三角の傷 丹波の漆掻きが盛り
2023年08月05日 のニュース
美術工芸のほか文化財の維持・修繕に欠かせない漆の採取が、西日本の希少な産地、福知山市夜久野町で盛りを迎えた。京都府無形民俗文化財に指定されている採取技術「丹波の漆掻き」を伝えるNPO法人丹波漆は、ことし夜久野高原3カ所で3人が漆掻きしている。
夜久野の漆に魅せられ移住して10年の山内耕祐さん(35)、同じく移住してきて漆掻き3年目の齊藤善之さん(46)は4日、高原に自生する漆の木に向かい、専用の道具を使って樹皮に傷を付け、染み出てくる漆を一滴、一滴掻き集めた。
木のどこに、どの幅と深さで傷を付けるかで採取量が異なってくる。見分けるには経験がいる。
6月11日に最初の傷を付け、4日ごとに傷を増やしてきて11本目。少しずつ幅を広げてきて、樹皮には黒い三角形の掻き跡がくっきりとついている。これからの天候によるが、作業は9月末まで続くという。
この日は京都市の堤淺吉漆店の案内で、割れた陶器を漆を使って修復する「金継ぎ」を学ぶ5カ国6人の研修生たちが見学に訪れ、山内さんたちに熱心に質問しながら、木の命がもたらす漆が採取されていく様子を見守った。
写真(クリックで拡大)=漆掻き作業に精を出す山内さん(右)と齊藤さん。木には黒い三角形がくっきり