画壇に目を向けず山家で筆 有道佐一さん没後40年展

2023年03月31日 のニュース

 パリで高く評価されながらも、帰国後は中央画壇と距離を取り、地元京都府綾部市山家にこもって創作に打ち込んだ画家、有道佐一さん。没後40年にあたり、回顧展が4月5日から10日まで、グンゼ博物苑集蔵(綾部市青野町、グンゼスクエア)で開かれる。

 有道さんは1896年(明治29年)3月27日生まれで、母は福知山市立原出身。18歳の時に、写生旅行で山家に投宿中の鹿子木孟郎(関西美術院長)に実力を認められ、京都市の鹿子木邸で住み込みで指導を受けるようになった。

 修業後に渡欧し、パリを中心に活動。スイスの彫刻家ジャコメッティに見いだされ、フランス5大サロンの一つサロン・デ・チュイルリーの客員に、日本人初メンバーとして推挙を受けた。1936年(昭和11年)のことだった。

 帰国すると、神戸の港で出迎えた洋画家の小磯良平に東京での活動を誘われたものの、一顧だにせず山家にこもり、創作に打ち込んだ。

 「売るための絵」は描かず、弟子の志願者も「指導する時間が無い」と取り合わず、寸暇を惜しんでキャンバスに向かう。個展などにも関心が無かったことから「幻の画家」と呼ばれたりもした。

 晩年になって美術雑誌で詳しく紹介されたり、東京での個展、作品展にも応じるようにもなり、83年2月、自宅で家族に見守られながら穏やかに87年の人生を閉じた。

 「故郷の偉大な作家の作品を一堂に」と、回顧展は有道さんゆかりの人を中心に、綾部市各界の人たちで実行委員会を作って開く。

 実行委員長の元日展会友、画家の野崎義典さんは、山家時代の作品を「木の葉一枚ずつを描きこむような点描風の独自な筆触で画面が充満する。この地で培われた豊かな人間性、そして奥にある魂から噴出する思いが作品に表れている」と紹介している。

 時間は午前10時から午後4時30分まで。500円(高校生以下無料)。

 

写真上=「霧雨の巴里」(1936年、サロン・デ・チュイルリー出展)
写真下=「由良川」(1941年)

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