極寒のシベリア抑留 平野さんが過酷な体験語る
2022年11月15日 のニュース

異国の地で強制労働を強いられたシベリア抑留体験者、京都府福知山市半田の平野力さん(98)による講演会が13日、昭和新町の府立中丹勤労者福祉会館で開かれた。「今こそ語る戦争と平和」をテーマに、若い命がたくさん失われた抑留の体験、平和への強い思いを語り、訪れた市民ら約90人が耳を傾けた。
平野さんは、第二次世界大戦に獣医として従軍。終戦後、満州から旧ソ連領内に連行され、マイナス30度を下回る厳しい環境で、強制労働を強いられた。21歳からの4年間、食事もろくに与えられないなか、工場でのレンガ作りや開墾作業をさせられた。
「とても寒く、地面が凍っているので、土を掘ろうとしても、パン1個分ほどを掘るのに丸一日かかった。常に腹が減っていて、仲間はジャガイモを奪って殴り合いになるほどだった」と、過酷な状況を振り返った。
平野さんは無事に帰国を果たせたが、約5万5千人の若者が抑留で命を落とした。「戦争では、たくさんの人が亡くなりました。二度とあのような戦争は起こしてはならん、と強く思います」と声を振り絞って訴えた。
講演会は、戦争を体験した人が年々少なくなる中、経験者の声を聴くことで、平和について考えるきっかけになれば-と、福知山9条の会が主催。市内の合唱団シルクロードの合唱、広島被爆体験者の話をまとめた紙芝居のDVD上映もあった。
写真=シベリア抑留の体験談を話す平野さん