避難所で聴覚障害者の情報不足の解消に―福知山ネットワークが市にビブスとボードを寄贈
2022年10月06日 のニュース
京都府福知山市内の聴覚障害者と支援者らの5団体でつくる「福知山ネットワーク」(古高春美代表)は4日、市危機管理室に「筆談します」の文字入りビブスと筆談ボード30セットを寄贈した。市は災害などの非常時に開設する避難所で使い、聴覚障害者の情報不足の解消に努める。
市は避難が長期化する場合に、要約筆記や手話ができる職員を避難所に派遣する態勢を組んでいる。しかし、耳が不自由な人にとって、音声で発信されることが多い災害時の情報を得ることが難しいため、コミュニケーション不足や情報格差に不安を抱き、避難所に行くこと自体をためらってしまうことがあるという。
そこで、同ネットワークは要約筆記や手話よりも支援が受けやすい「筆談」に注目。文字入りビブスと自作の筆談ボードの普及に取り組み、避難所運営をする市に贈ることに決めた。
市役所を訪れた古高代表は「聴覚障害者が避難所に行った時に、見た目では聞こえないことが分かりません。職員さんは忙しそうで(声を掛けて)立ち止まってもらうのを諦めてしまいます。ビブスを着用してもらえたら声を掛けやすいのでお願いしたいです」という。
同ネットワーク構成団体の一つ、福知山難聴協会の植田智美さんも「実際の避難時に筆談ボードを持っていくのを忘れたことがあるので、避難所にあればうれしい。耳が聞こえにくい高齢の方にも使ってもらえると思います」と期待する。
今井由紀危機管理監は「避難者が多い避難所に優先的に配備して、避難訓練の時にもビブスの紹介をして少しでも安心につなげたい」とし、筆談ボードは折り畳むことができる手のひらサイズで、森下邦治危機管理室長は「当事者のみなさんだからこそのサイズなんですね。これは使いやすい」と話していた。
同ネットワークは今後、追加で寄贈する予定にしている。
写真=筆談可能ビブスとボードを手にする植田さん、古高代表、今井危機管理監、森下室長(左から)