漆で修繕された甲冑並ぶ 夜久野で「サムライの装い展」
2022年09月08日 のニュース

京都府福知山市夜久野高原(夜久野町平野)の道の駅農匠の郷内にある市やくの木と漆の館(平岡明子館長)で、「サムライの装い展」が開かれている。文化財の修復などにも使われる希少な丹波漆を使ってよみがえった江戸時代の重厚感ある甲冑などが展示され、来館者を魅了する。10月25日まで。
出品しているのは丹波漆の魅力にとりつかれ、同館体験工房に約20年間通い続ける兵庫県朝来市の50歳代の会社員。代々受け継がれた武具に囲まれて育ち、自身も武具収集を続けている。
ギャラリーに並ぶのは鎧、兜などからなる甲冑や陣笠、刀など計約50点。それぞれ経年劣化で一部が破損していたが、同館スタッフのアドバイスを受けて、漆の塗り直しや蒔絵の技法で金粉を装飾し、修復した。
腕を守る袖など一部を和紙と漆で仕上げ軽量化を図った甲冑や、螺鈿を施した陣笠、火事現場で熱がこもらないように漆を塗った紙製の火事兜もある。
来館者は「多くの武具が集まり、江戸時代にタイムスリップしたようで圧倒されます」と感激していた。
夜久野町は古くから良質の漆の産地。NPO法人丹波漆(高橋治子理事長)が、漆の木の植栽や漆かきを続け、府無形民俗文化財「丹波の漆掻き」の技術を守り伝えている。
平岡館長は「漆は耐久性や加飾のしやすさなどから武具には欠かせない存在でした。再び漆を使って修繕することもでき、展示品を通して奥深さを感じ取ってほしい」と話している。
甲冑着付け体験を11日と23日、10月9日と23日の4日間実施。予約がいるが、空きがあれば当日も受け付ける。体験料は鉄製500円、紙製無料。家紋キーホルダーの絵付け体験は、期間中の水、木曜日を除き、終日実施。当日受け付ける。体験料は500円。
ギャラリー、資料室のみの入館は無料。開館時間は午前10時から午後5時まで。水曜日休館。甲冑着付け体験の予約は同館、電話0773(38)9226へ。
写真=修繕された甲冑が並ぶギャラリー