空き家情報バンク使った移住が増加 累計成約150件突破
2022年07月15日 のニュース
空き家を探す移住者と売り手をつなぐ、京都府福知山市の「空き家情報バンク」。累計成約件数が150件を突破した。2009年の制度開始以来、空き家は289件の登録があり、成約率は51・9%。このうちの約80%が市外在住者で、空き家の利活用による移住促進が進んでいる。

バンクは、少子化の進む農山村地域の担い手確保などを目的に始まった。成約件数はほぼ右肩上がりで伸びており、一昨年度は29件、昨年度は31件。今年度もすでに9件の成約があり、昨年度と同じペースだという。市内からも利用できる。
市は、子育て世代に注目してもらえるように情報発信の方法を工夫していること、新型コロナウイルス禍以降に地方移住への関心が高まったことなどが成約件数の増加につながっているとみている。コロナ禍で現地に出向けない遠方の人に、ネット中継で内覧してもらうオンライン見学会も開催してきた。「今後も情報発信を積極的に行い、移住者の獲得につなげたい」としている。
■昔ながらの日本家屋が特に人気■
一方で、空き家の登録件数が少ないことが課題となっている。物件を探している移住希望者は698世帯あるが、現在公開されている空き家の数は55件と少ない。空き家は、老朽化による倒壊などの責任が所有者に問われるケースもあり、市は「そうなる前に利活用を進めるためにも、問題解決の一つとしてバンクの活用を」と呼びかけている。
新規物件の登録があれば、すぐに問い合わせが入るなど、移住希望者の関心は高いという。三角屋根で築年数が古い木造建てなど、昔ながらの日本家屋が特に人気がある。
農山村地域の空き家が対象で、田畑や山林、蔵なども一緒に登録できる。個人以外の営利目的でないことなどが条件。申込書に必要事項を記入して市まちづくり推進課に提出した後、市職員が現地調査をする。登録された物件は専用のホームページなどを通じて広報される。契約や交渉は当事者間で行う。
空き家登録の促進のため、専用のチラシを作ってPRしており、自治会などから活用の申し出があれば随時対応をしている。
問い合わせは市移住・定住サポートセンター、電話0773(24)7225へ。
写真=遠方の見学希望者にタブレットで物件を紹介する市職員ら