「安産の神様」 大原神社境内にお産と子育ての資料室開設
2022年03月02日 のニュース
安産の神様として親しまれている京都府福知山市三和町大原の大原神社は1日、お産と子育ての資料を展示する「産育習俗資料室」を境内に開設した。江戸時代後期の育児書や日本で最初の哺乳瓶など、林秀俊宮司が約30年かけて収集した50点ほどを並べている。
大原神社近くを流れる川合川沿いには、大正初期ごろまで妊婦が出産時にこもったという府指定有形民俗文化財の産屋があり、一帯は「生命誕生の聖地」といわれている。
林宮司は神道を学んだ大学時代、卒論のテーマとして産屋を研究。当時の恩師に、「今後も産育の研究を続けてほしい」と勧められたことから、地元に戻ってきた1993年以降、古文書を取り扱う京都市内の店舗を巡るなどして資料を集めてきた。
その数は現在80点ほどになり、これまでも要望があれば一般の人に公開してきた。昨年、授与所の新築・改修工事をした際、常設展示できるスペースを設け、今年2月上旬から「産育習俗資料室」の準備を進めていた。
乳母の適正年齢などをまとめた江戸後期の育児書「愛育茶談」(桑田立斎著)、難産でも母子ともに救えるナガスクジラのひげを使った和製産科鉗子「探頷器」の解説書、昭和初期の乳母車、胎盤の模型など珍しい資料を展示している。
林宮司は「産育習俗資料に特化した資料室は全国で初めてではないでしょうか。大原神社には毎年、助産師をめざす看護学校の生徒が訪れています。命の尊さと産育の歴史を学び、後世に伝える資料室になれば」と話している。
写真=江戸後期の育児書も展示