卒業生に青春の記憶残す大江高校伝統の登山競走 80年の歴史に幕

2021年11月20日 のニュース

 福知山市大江町金屋、京都府立大江高校(松田潔校長)は、1943年ごろから続く秋の伝統行事「大江山登山競走」について、今年度で廃止することを決めた。コースの道路事情の変化などで、「生徒の安全が保証できない」と判断。約80年の長い歴史に幕を閉じるが、卒業生たちにとっては「つらい中でも、楽しかった青春時代の記憶」として、これからも心に刻まれ続ける。

 登山競走が始まったのは、第二次世界大戦中。当初は「国家のために役立つ体づくりをめざす」という意味合いが強かったという。その後、一時は途絶えたが、戦後の1951年に体力向上、目標に向かう気力の醸成を目的に復活を果たした。

 当時は男子が俊明小学校(美鈴小)、女子は元伊勢内宮皇大神社を出発し、千丈ケ嶽(大江山)の頂上まで登っていた。最近は学校をスタートし、男子は大江山連峰の鍋塚登山口まで12・1キロ、女子は大江山グラウンドまでの10・8キロで実施。一昨年は雨天、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止した。

 保健体育の教員として、同校で1987年から5年間勤務し、2019年に再赴任した松田校長(59)は「最初の赴任時は、まだ千丈ケ嶽の頂上がゴールでしたが、1位をめざし夏休みに特訓して挑んだり、友だちとしゃべりながらゆっくり走ったりと、それぞれの向き合い方で、生徒たちは登山競走に臨んでいました」と話す。

 このため、廃止するのは「断腸の思いだった」。それでも、交通量の増加のほか、道路の使用許可を取るのが難しくなり、見通しの悪い側道を走らざるを得ず、近年には生徒が車に接触しそうになる事案もあった。「何かあってからでは遅い」と苦渋の決断をした。

 「同窓会役員や学校運営協議会、生徒と保護者には事情を説明し、残念との声もありましたが、『やむを得ない』と納得していただきました。廃止を知らなかった人もいると思いますので、事情を理解いただければうれしいです」と話している。

■「プレッシャー」「楽しかった」■

 野球部所属で2年生のときに府大会でベスト8進出の経験がある高橋正さん(58)=昭和56年卒=は「野球部は伝統的に、目標順位に入らなければ、学校からグリーンロッジまでもう一度走らなければいけない決まりがあり、プレッシャーでした。目標順位には入れていて、レース後に食べるぜんざいがおいしかったことを覚えています」と振り返る。

 平成8年卒の女性(44)は「坂の途中からゴールまで、友だちとしゃべりながら歩いていました。嫌がる人もいましたが、私は楽しかった。廃止は寂しいけど、生徒の安全を考えると仕方ないのかなと思います」と理解を示していた。
 
 
写真=生徒たちはそれぞれの向き合い方で挑んでいた(2015年)

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