伝統文化・漆を通して里山を考える 京都府事業で大学生ら参加し
2021年11月15日 のニュース
福知山市夜久野町の夜久野高原で14日、伝統文化の漆について、少人数でじっくりと植栽体験できるイベントがあり、京都府内の20人が参加。漆かき職人や樹木医らとの交流も深めて丹波漆に親しんだ。

イベントは、京都府が主催する豊かな森の恵み創造事業「ウルシを植えて里山を考える」で、事業委託を受けるNPO法人丹波漆(高橋治子理事長)が主管した。
NPOは、これまでから講演会や記念植樹などで、夜久野が産地の漆の振興に努めてきた。今回は、新型コロナウイルス禍で大人数で集まることを避ける代わりに、少人数ならではの奥深い内容にした。
地元の関心を高めたいと呼びかけた結果、参加者の半数が夜久野地域の人となった。遠方では京都市からの参加があった。
夜久野高原にある道の駅「農匠の郷」そばの体験農場で、NPOのメンバーや府緑化センター主任研究員で樹木医の小川享さんに教わって苗木作りや定植をした。
苗木作りは、分根作業をした。「植える根は鉛筆くらいの太さを目安に」「皮膚につくとかぶれるので注意してください」など小川さんの指導で作業の手を進め、若い苗木をスコップで掘り起こし、切り取った根の一部を畝に植えた。今後、苗になればNPOが定植に役立てる。
周囲には定植から2~4年経った漆の木が並んでいて、参加者は興味津々。10~15年ほどで漆かきが可能になることなどを聞いた。
「雄の木か雌の木のどっちが漆かきに適しているか」「漆の種類によって生育期間が異なるのか」など質問が相次いで、講師陣が丁寧に答えていた。
昼食後は額田の夜久野ふれあいプラザに移動して、勉強会と座談会。夜久野の自然や里山暮らし、文化財の維持・修繕に欠かせない夜久野の漆について学んだ。
NPOメンバーで漆かき職人の山内耕祐さんは「参加者との双方向のやり取りができて良かった。地元の参加が多かったこともうれしかったです」と手応えを語った。
■魅力を情報発信する若者を募集■
府は、丹波漆を知ってその魅力を情報発信する活動をしたい中学生から大学生までを募集している。22日締め切り。
学生と地域で活動する団体をつなぐ「府学生×地域つながる未来プロジェクト」事業の一環で、NPO丹波漆がコラボ先になる。福知山市若者まちづくり未来ラボ事業の助成を受ける。
昨年度に参加した大学生5人が継続して、今年度は京都大学3回生の森下航平さんがチームリーダーを務める。活動期間は来年2月までで、月数回のオンライン交流、漆植栽現場の見学と体験、情報発信をする。
森下さんは「集まるみんなでどんなPR方法があるかも考えていきたいです。興味のある方はぜひ一緒にやりましょう」と呼びかけている。
申し込み方法など問い合わせは府政策企画参事付、電話075・414・4210へ。
写真=樹木医の小川さん(左)に教わって、分根作業で苗作りをする参加者