相次ぐ消火ホース筒先の盗難 製造会社が大江町に寄付
2021年07月19日 のニュース

今春、京都府福知山市大江町などで消火用ホースの筒先が相次いで盗まれた。この窮地を知った消防用機材製造販売メーカーのヨネ株式会社(米田哲三社長)=京都市中京区=が、新しいアルミ製の筒先を準備して、福知山市消防本部を通じて地元の代表者に届けた。
消火栓ホース格納箱は各自治会で設置している。火災の際に、消火栓にホースをつなぎ、ノズルとなる筒先をつけて放水して初期消火を行うためのもので、緊急時に誰もが利用できるよう普段から鍵は掛けられていない。
市内では4月、真ちゅう製の古いタイプが相次いで盗まれていることが判明。地元消防団や自治会の調査の結果、大呂など北部地域や大江町の計14自治会で32本が盗難に遭っていることが分かった。
初期消火活動に支障をきたすことから、当面の間は、市消防本部所有の古い筒先を貸し出すなどして対応にあたっていた。
その被害を報道で知った米田社長(37)は、「少しでも役立ててほしい」と自社製の筒先32本(62万4千円相当)を7月5日、福知山市に寄付した。
米田社長は「新型コロナウイルスのせいで地元京都の地域は暗くなっているので、明るいニュースを届けたいと寄付を決めた。地域の安心安全につながれば」と話した。
16日は、大江町蓼原の蓼原公会堂前に集まり、市消防本部の職員が大江地域代表自治会長の仁張衛さん(66)=蓼原自治会長=に9自治会分の筒先22本を渡し、さっそく近くの消火栓ホース格納箱に収めた。
仁張会長は「大江町は水害に何度も遭っていて、さらにこうした被害を受けた。世帯が少ない自治会は特に負担が大きい。自主防災になくてはならないものなので、寄付はありがたい。8月末の防災訓練に間に合って良かった」と感謝していた。
下天津などの北部地域の5自治会には後日、届けるという。
福知山署員も訪れ防犯点検を実施
この日は、福知山警察署(小野孝一署長)の署員も訪れ、被害を受けた消火栓ホース格納箱に啓発ステッカーを張るなどして防犯点検も実施した。
同様の盗難は、市内で2012年に23自治会69本、15年にも16自治会26本の被害が発生している。
写真=届けられた筒先を消火栓ホース格納箱に収める仁張代表自治会長(左)